第八話 ぼくについて

 首領は言っていた。

 記憶を消す魔法がある、と。

 記憶とは、消すことが出来るもの。

 ならば、話は簡単だ。

 ぼくが、ぼくの記憶を消した。

 ぼく自身の魔法によって。

 

 なぜ殺人の記憶を消したのかという理由については、まだ思い出せない。

 だが、どうせ殺人の記憶を持ち続けるのが、面倒だっただけだろう。

 大した理由はない。


 妹の死体を見たとき、感情の揺れによって全てを思い出した。

 どうやら記憶消去の魔法の効きが、まだ弱かったようだ。

 なんとも中途半端なものである。

 忘れたいのか、覚えておきたいのか。

 どっちなんだ。


 以下、ぼくの行った殺人の記憶。怒ったり、喜んだりといった心の起伏はなかった。ぼんやりとした夢見心地の中で、ぼくは殺人を続けていった。


 ぼくは町のはずれで男の人を焼き殺した。

 手のひらに火の玉を出すと、それをえいっと投げつけた。

 火の玉はあっという間に男の人を飲み込み、火だるまにした。

 誰かが駆けつけて来る気配がしたので、急いでその場から逃げ出した。


 ぼくは担任の先生を八つ裂きにした。

 何十体もの小石の人形を作り、先生の家へ侵入させた。

 ぼくは少し離れた場所で、先生の家を眺めていた。だから、石垣に阻まれて、実際に先生が死ぬ瞬間は見えなかった。

 だが先生の絶叫は聞こえた。あれが、命を引きちぎった時の叫びなのか。

 小石の人形たちは最後まで飽きることなくやってくれた。きっと、とても楽しかったのだろう。


 ぼくは妹をぐちゃぐちゃにした。

 やりかた、というと実は自分でもよく理解していない。

 妹を500メートル上空までワープさせて、そこから落とす。落下直前でぼくたちの部屋にもう一度ワープさせる。落下の音は消した。

 なんとなくでやったから、たぶんこんな感じ。

 どうして部屋に墜落させたのか。

 それは、妹を死なせるなら、ぼくたちの家の方がいいかなと思ったから。

 ぼんやりと、そう思ったのだ。


 以上である。

 首領と比べたら、とても小さいことなんだろう。

 首領は悪の帝王であり、闇の支配者だ。いくつもの世界を征服し、人々をおもちゃのように支配してきた。 

 ぼくは首領の言葉を信じている。

 だから、記憶を消していた時も、ぼくは首領を疑っていなかった。

 首領は強大な暗黒だ。この殺人事件は首領に相応しくない。ずっとそう考えていた。


「殺した理由は?」

 首領がぼくにたずねる。

 一瞬、怒られていると思った。

 でも、違った。首領の声は優しい。

 いまもただ、空を見つめている。


「信じてもらえないかもしれないけれど、ぼくはぼんやりしていたんだ」

 どうして三人を殺したのか。

 なんとなく、としか言いようがない。

 魔法を使っていた時、ぼくは夢の中にいるようだった。すべての感覚がふわふわしていた。

 考えていたのは『この力で人を殺せるかな』。


 首領は言った。

「魔力が発現したての頃は、意識が朦朧とすることがあるんだ。魔法の力にまだ脳が耐え切れないから起きてしまう現象だね」

「ぼんやりしながら、ぼくは首領に見せてもらった魔法をマネしたんだと思う。その日に見た魔法を使って殺人をしていったんだ。ぼくはそのときだれかを殺したいと考えてた。魔力のせいじゃない。ぼくのせいだよ」

 ぼくは自分自身のことを、本当に自分勝手だと思っている。

 大した理由もなく、ぼんやりとしながら殺人を続けたのだから。

 ぼくにあったのは、人殺しに対する小さな興味。

 人が燃えるとどうなるのかな。人がバラバラになるとどうなるのかな。人が高いところから落ちるとどうなるのかな。

 心の中で霧のように漂うそれらの疑問に従って、男の人を、先生を、そして妹を殺した。

 7歳児でも分かる。

 あまりにも子供っぽい。


「ごめんね、首領。首領の魔法でつまらないことをしちゃった」

 言うならば、ぼくは首領の魔法を盗んだのだと思う。

 ぼくが初めて魔法を使ったのは男の人を焼き殺した時だ。その日に見せてもらった火の玉の魔法を、きっと無意識的に学習し、利用したのだ。それまで、自分が魔法を使えるなんて知らなかった。

 ああ、本当に。

 首領は夢のような魔法をみせてくれたのに。

 ぼくは夢のない人殺しに使ってしまった。


「きみはこれからどうしたい?」

 首領からぼくに対する問い。

 これから、か。

「ヒーローがくるのを待つよ」

「ヒーローに倒されてもいいの?」

「うん」

 正義によって悪が倒される。

 悪であるぼくにとって、それこそがふさわしい最後なのかもしれない。

 

「なるほどね、なるほど……うん、順当にいけばもう筋書きは決まってしまっているんだろうね」

「……?」

 どうしたのだろうか。

 首領は一人でしゃべりだした。

「幼い殺人鬼が無垢な好奇心に導かれ、狂気を加速させた。ひょんなことから事件に関わることになった主人公は、やがて恐るべき真相に至る。少年は敵意を剥き出しにし、信じがたき魔法によって主人公へ襲い掛かった! だが、主人公は素晴らしき機転によってピンチを切り抜け、最後には殺人鬼の打倒に成功する……うーん、それなりの興行収入は見込めそうだね。レビューも星3.8はいける」

 いきなりの言葉に戸惑ってしまったが……ああ、確かに。

 そういうストーリーが、ぼくを待ち受けているのだろう。

 当然の未来だ。

「でも、そうはならない。だって私がいるから。恐怖の首領である私がいるから」


 ……?

 それは、どういうことだ?

 困惑の度合いが一気に深まった。

「私はね、きみに一つウソをついていたんだ」

 それまで空を眺めていた首領が、そう言いながらぼくの方へ顔を向けた。

 その顔をなんと表現すればいいか。

 まるで月のように穏やか笑み、とでも言えばいいだろうか。


「ウソ、ってなに?」

「実は手品が上手なだけのお姉さんでしたー! なんてことは言わないよ。正真正銘の首領です、はい。まあでも、きみに見せた魔法のことで、言わなくちゃいけないことがある」

「魔法の、ことで」

 一体、なんだろうか。


「私がこれまできみに見せた魔法はね、一から十まで」

「……」

「すべて、きみの魔法だったんだ」


 ……最初、何を言っているか分からなかった。

「それは……え、どういうこと?」

「まるで自分の物のように魔法を見せてしまったことを謝るよ。ごめんなさい」

「え、え?」

「ああいや、もちろん私も魔法は普通に使えるよ。けれど、きみに会ってから見せた魔法はぜんぶ、きみがもともと持っていた魔法だったんだ」

「ぼくが、もともと持っていた?」

 

 ぼくが魔法を使えたのは知っている。でも、ぼくは首領が使っていた魔法をマネして、それによって殺人をおこなっていた、はずだ。

「それは違う。火の玉も、小石の人形も、空を飛ぶことも、最初からきみの魔法。私はただその力を引き出しただけ」

「力を引き出した?」

「きみを抱きしめることでね」


 首領と初めて会ったときのことを、思い出した。

 確かに、一番初めにやったことは。

 抱っこだった。

「きみにはものすごい量の魔力が眠っていた。そして、その魔力によって発動する魔法も、多種多様なものが既に準備されていた。血筋とかは関係ないだろうね。きみがこの世に生まれ落ちた瞬間から発生した、きみ個人の才能だよ」

 

 燃料としての魔力だけでなく、技術としての魔法もとっくの昔に会得していた、とでも言いたいのだろうか? ぼくはただ使い方を知らなかっただけ、なのか?

「きみは空間をコピーして独自の小世界を形成できる。きみは影の中に潜行してクジラと遊ぶことが出来る。これだけじゃないよ。降霊術、音響爆弾、年齢操作、催眠攻撃、雷撃、透視、未来予知、筋力強化、物体氷結、音速移動……まだまだいっぱい。まさしく、魔法の総合百貨店だね」


 そんなばかな。信じられない。

「他者の介入がなくても、きみはそのうち魔法が使えていただろう。でもその場合、きみの魔力量が多すぎて暴走のリスクがある。大丈夫、私が魔力の引き出しと一緒にある程度の制御をやっておいたよ……ねえ、きみを抱きしめているとき、私がどんな風に感じていたと思う? ずっと感動しっぱなしだったんだ! きみの体一杯につまったエネルギーが、今すぐにでも体から飛び出していこうとしていた。膨大な魔力の熱量が、どれだけの奇跡をこの世に巻き起こすか、想像するだけで胸がワクワクして止まらない。保証するよ。きみはすごい存在なんだ!」


 首領の語る言葉は、とても、とてもすばらしいものに思えた。 

 輝かしいものに思えた。

 単なるマネごとではない。

 ぼく自身の力としての、魔法。

 この小さな体に。

 世界と同じくらい、たくさんのものがつまっているのだろうか。


 でも。

 だけど。


「ぼくは人殺しだよ、首領」

 たしかにすごいのかもしれない、ぼくは。

 それでも。

 ぼくは悪い子だ。

 悪い子がすごいなんて、おかしい。

 

「すごいよ、きみは」

「すごくない」

「何度でも言うよ、きみはすごい」

「すごくない」

 情けないことは自分でも分かっている。

 それでも、ぼくは同じ言葉を繰り返すことしか、出来なかった。

 魔法が引き出されたことと、ぼくに元からあった殺意は無関係。魔法が無かったとしても、10年もすれば殺人を犯していたのではないか。ぼくは悪魔だ。もうどうしようもない、存在だ。

 

 そのとき。

 すっ、とぼくの左頬に首領の右手が添えられた。

「ねえ」

「首領?」

「きみのことを、ぎゅっと抱きしめてもいいかな?」


 ……種明かしは済んだはずだ。

 抱きしめることはぼくの魔法を引き出す行為。

 今更、なにをしようというのか。


「……うん。いいよ」

 それでも。

 ぼくはうなずいていた。

 意味がなかったとしても。

 それでも、ぼくは首領にぎゅっとされるのが好きだった。


「ありがとう」

 首領は長椅子から腰を上げると、ぼくの前に立つ。

 いつもは後ろからだったけれど。

 今回は、前から抱きしめられた。

 つよく、つよく抱きしめられた。

 いままでのなかで、一番つよく抱きしめられた。

 彼女の顔が、ぼくの右隣にある。


「確かにきみは、根っこのところが壊れている。普通の子供ならパニックになって泣きわめいているところなのに、落ちついて自分の罪を認め、ただ自分が死ぬのを待っている。まさしく、異常だ。」

「……うん」

「私の推測だと、きみは本来この町で10人以上殺すはずだった。自らの力に歯止めが効かずにね。それでも、きみの魔法を完全に使えなくすることは出来なかった。魔力を制御しすぎるときみが死んでしまう。だから……どうしても3人は犠牲になってしまった」

「そうなんだ……ぼくが生きていると人が死ぬんだね」

「……でもね。それでも。私はきみに生きて欲しいんだ。たとえ人を無残に殺した悪魔であっても、生きるのを諦めないで欲しいんだ」

「……え?」

「きみはどうしようもない悪なのかもしれない。だけど、私は許すよ。きみが未来を生きることを、私は許す」


 首領は少しだけぼくから体を離すと、自分のポケットから何かを取り出した。

「それって」

 それは、トカゲの首と胴体だった。

 あの日、首領によって殺された……いや、殺した魔法はぼくのものだったか。

「いまからもう一つ、魔法を見せてあげる」

「それって」

 ぼくはいま首領に抱きしめられている。だとすると、それはぼくの魔法を首領が再び引き出すということだろうか。

「なにを見せてくれるの」

「きみが出来る、誰かのための、魔法だよ」

 

 きらきらと、星のようなきらめき。

 光が、トカゲの死体をつつむ。

 音もなく、それは始まった。

「……え!?」

 首領の手のひらにあるトカゲの死体が、ぴくぴくと、動き出す。

 次の瞬間、一気に首と胴体がつながった。

 首が切断されたということがウソのように、痕も無くなっていく。

 ほんの十秒で。

 トカゲは元通り。

 ぴょんと首領の手のひらから飛び降りると、公園の草むらへと走り去っていった。


「これ、なに!?」

「期待通りの驚き! いやー嬉しいですなあ!」

 首領は一瞬かんらかんらと豪快に笑い、すぐに元の月の笑顔に戻った。

「魂の回帰。喪失の否定。要するに、黄泉がえりだね」

 呆気にとられた。度肝を抜かれた。

 死んだ存在を、生き返らせた?

 この目でみたのに、その目が信じられない。


「きみはこんな素敵なことも出来るんだよ」

 首領は再びぼくをつよく抱きしめた。

「今見せた黄泉がえりは、私が手伝うことでギリギリ成立した。けれど、きみが成長を重ねていって神の領域に到達すれば、一人で簡単に出来るようになる」

 命を、生き返らせることが出来る。

 ならば。

「あの三人はもう無理だろうね。きみが成長しきったころには、魂が手の届かない遠くまで行ってしまっている」


 だめか。だめなのか。

「魔力と一緒にきみの心も伝わってくるよ。たとえ心が壊れていても、悲しいものは悲しい。それでいいんだ。きみは悲しんでもいい」

「……首領」

 悲しんで、いいのか。悪であっても。

 ぼくは首領の背中に手を回した。

 ぼくも、首領を抱きしめた。


 首領は話を続ける。

「きみはまだまだ、これからの存在だと思う。世界を滅ぼす存在になるかもしれないし、ひょっとしたら、世界を救うヒーローになるかもしれない。別にいいじゃないか、殺人鬼が地球を救っても。なんにしても、きみはまだまだ小さな男の子だ。きみはこれからどんどん成長する。その未来は未知数なんだ。何度でも言うよ。きみはすごい。すごいきみは、どんな存在にもなれる」

 ぼくには、未来が、あるのか。


「将来を決めるのは、別にいまこの瞬間でなくてもいい。まだ、きみは世界を知らないじゃないか。前にきみが言った通り、世界はたくさんのものに溢れている。溢れんばかりのそれら多くを、一つ一つきみは知っていくべきなんだよ。多くのものを知ったうえで、自分の答えを出したらいい」

「……首領は、ぼくの言ったことばを覚えてくれていたんだね」

「きみだって私の言葉をよく覚えてくれているよ。ありがとう。私との会話を忘れないでいてくれたら、それはきっと、きみにとって役に立つと思う」


 ああ、そうか。

 そうだったのか。

 この時、ぼくはようやく気付いた。

 首領はずっと、ぼくのために話してくれていたんだ。

 

 魔法について。暗黒について。

 支配について。殺人について。

 世界について。そして悪について。

 

 魔法を使う殺人鬼であるぼくが、未来を生きていく上で必要な最低限の知識。

 善に生きるにしろ、悪に生きるにしろ、持っておくべき認識。

 魔法を使うことによって生まれる、楽しさ。

 それらを最初に会ってからずっと、話してくれていた。

 ずっとずっと、ぼくのために。


「きみにはまだ暗闇がない。自分にとって曲げられない、大切なものが見つけられていない。それを探し続けるんだ。それが見つかりさえすれば……きみは幸せになれる。きっとね」

「……首領、ありがとう」

 本当に、ありがとう。


「……さあ、お別れの時間だ。さっきの黄泉がえりの術できみの魔力はほぼ空になった。数年はもとの量に戻らないだろうね」

 いつまでも続けたかった抱擁は、その瞬間、唐突に終わった。

 首領はぼくから離れると、公園の外を指さした。

「いまから急いで家に帰って、妹が死んでパニックになったふりをするんだ。ヒーローに見つからないように、しばらくはじっとしてるんだよ。魔力が僅かだから、探知はやりすごせる」

 

 少しずつ、朝の風が暖かくなりはじめた。

 チョウが公園の外で、楽しそうに舞っているのが見える。

 ぼくはそのチョウを目指して。

 歩き出した。


 もう必要な言葉はもらった。

 十分すぎるほどに。

「きみの旅路を祝福しよう! 元気でね!」

「ありがとう首領! さようなら!」

 その言葉を最後に、ぼくは振り返らなかった。


 朝の町を独り、歩く。

 空が青い。

 不安と期待。

 ぼくは家路に着いた。


 

 

 

 


 

 

 

 

 



 

 








 これが今から10年前のことだ。

 ぼくは今も生きている。


 あれから魔法は使っていない。

 人も殺していない。

 いや待てよ。それは違うか。


 ぼくが10歳のときに、母さんは事故死した。

 妹の死から、母さんは精神的に不安定になっていた。それが理由となって、車の運転にミスが生じたのかもしれない。

 間接的にぼくが殺してしまったと言っていいだろう。

 あの事件の被害者は、4人だ。


 罪悪感はある、と思う。

 けれど普通の人々と比べると、きっとそれは少ないのだろう。罪悪感をぼくは適度に制御してしまっている。穏やかに、日常を過ごしてしまっている。

 やはりぼくは壊れた人間だ。本当は罰を受けるべきなのだろう。


 でも。

 だけど。


 罰はもう少しだけ待ってくれ、とぼくは思っているのだ。

 なんとも恥さらしなことに。

 穏やかな日常のなかで多くの友人が出来た。

 好きな女の子も出来た。まだ、告白していないけど。


 ぼくの周りに広がる世界をもうちょっとだけ味わってから、死にたい。

 ぼんやりとした、想いだ。

 これはぼくの大切なもの、暗闇なのだろうか?

 首領にまた会えるのなら、聞いてみたいものだ。


 首領とは一度も会ってはいない。

 公園で別れたきりだ。

 今となっては、謎だらけの邂逅だったなと思う。

 そもそもどうして、ぼくを助けようと思ったのだろうか。


 あれからいろいろと考えたが、明確な結論は出ていない。

 ただ、なんとなくだけれど。これじゃないかな、なんて漠然と考えている。

 首領が最初の日に言った言葉。

『私も散歩の途中。散歩の途中にきみと出会ったんだよ。ただ、それだけなんだ』

 結局のところ、これが答えなのかもしれない。


 当時7歳だったぼくが公園に通ったのは、きれいな花々が咲いていたからだった。ぼくは花に誘われたのだ。

 首領も次元世界の歩みの中で、ぼくという花を見つけ、ふと立ち止まったのではないか。そしてわずかな時間、見つめた。

 ……いや、自分を花に例えるのはちょっと恥ずかしいな。改めて考えると自惚れかもしれない。


 だが、いちばんピンとくるのがこれなのだから仕方ない。

 首領と共にいた時間は短い。

 しかし、その短い時間に教えてもらったことを基本として、ぼくは生きている。

 自らの力に驕ることなく、世界に思慕と敬意をもって生きている。


 ああ、そういえば。最近、ぼくの住んでいる町で奇妙な事件が起こっている。

 行方不明者が相次いでいるのだ。

 もしかしたら、ぼくは魔法を使わなくてはいけないかもしれない。

 ぼくは、ぼくの日常を守りたい。

 首領にすごいと言われた魔法で、出来る限りのことをしよう。

 

 悪の帝王、闇の支配者、恐怖の……首領。

 首領はいま、何をしているのだろうか。

 どこか遠く、この世界とはまた違う世界で。

 誰かをぎゅっと、抱きしめているのかもしれない。

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首領は貴方を抱きしめたい 坂井そら @sora_novel

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