第6話 首2
今日も愛犬の散歩に出かける。
30分ほど歩いて家路に着くと、マンションの生垣から首が生えていた。前に見た奴と同じ顔だ。
――やっぱりか。ほとぼりが冷めたから、性懲りもなく出てきやがったな。
俺が近づくと、首は馴れ馴れしく話し掛けて来た。
「こんにちは。お久しぶりですね」
俺は頭に来たので、有無を言わさず首をつかむと、引きずり出してやった。
「何をするのです。ご無体な。やめて下さい」
首は抵抗したが、俺は容赦しない。
思い切り引っ張ると、漸く首が引っこ抜けた。
手元を見ると、首の根元から手首と足首が生えている。この前見た奴らだ。
不細工だ。無様だ。
そう言ってやると、首は切なげに恨み言を言う。
「あなたは本当に酷い人です。貴方のような酷い人には会ったことがありません」
だからどうしたと、俺は思い、首を道路に放り投げてやった。
「あれえ」
首は悲鳴を上げて飛んでいくと、消えてなくなった。
せいせいした俺は、不思議そうに見上げる愛犬を促して帰路に就く。
二度と現れるなよと思いながら。
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