第3話 - ニニと絵の友たち

ある小さな町にニニという男の子が住んでいました。

ニニは両親の言うことをよく聞く優しい子供で、幼稚園もたくましく通っていました。

それにお使いもてきぱきしました。

ところで、ニニに一つできないことがありました。

夜に一人で寝なければならないということ。

ニニはそれが本当に怖かったです。

かちかち。

昼間は小さく聞こえていた時計の音までものすごく大きくて怖く聞こえました。

太鼓を叩きながら立っているおもちゃの兵隊も両足を伸ばして座っている子熊も青空をひらひらと飛びたいようなすらりとした飛行機もみんなが暗闇の中で動いているように見えました。

ニニは布団を頭のてっぺんまでかぶっていました。


「今日は私が好きな布団をかけたから早く眠くなるよ。」


がたっと。

風が通り過ぎながら窓を叩く音に驚いたニニはつぶやきました。


「怖くない。 怖くない。 早く寝ないと。」


急にどこかから話し声が聞こえました。


「ニニ、怖がるな。 私たちがいるじゃないか。」



ニニはびっくりしました。

しかし、その声はなんとなくかわいくて情らしい感じがしました。


「聞き間違えたかな?」


ニニは布団の外にそっと顔を出しました。

いや、これはどういうことですか?

きらびやかで明るい光とともに布団に描かれていた絵が一つずつ飛び出してきました。

白いウサギはぴょんぴょん、青い車はブルンブルン、

黒い帆船はゆらゆら、黄色い蝶はゆらゆら、そして赤いバラの花がにこにこ笑ってニニのそばに近づいてきました。

あまりにも神秘的なことに、ニニはしばらく話すことができませんでした。

それもしばらく。

ニニは浮かれて天井に頭が届くほどぴょん跳ねていました。


「うわぁ!布団にある絵が全部生き返ったね! 楽しい!」


ニニの部屋が急に童話の中の国に変わってしまいました。

ニニは友達の手を握って部屋の中をぐるぐる回りました。

かくれんぼもしてニニのクレヨンで画用紙にお互いの顔を描きながらけらけら笑っていました。

ニニは布団から出た絵友達と一緒に遊んで夜になると一緒に寝たりもしました。



ある日。

2階に上がってくるお母さんの足音が聞こえました。


「早く隠れて!」


白いウサギは耳を半分折ったまま子熊人形の後ろに行ってうずくまって座りました。

青い車はおもちゃの飛行機の後ろに行ってぺちゃんとうつ伏せになりました。

黒い帆船はハンガーの後ろに行ってそっと隠れました。

赤いバラは壁に貼ってあるニニの花の絵にべったりくっつきました。

黄色い蝶は素早く赤いバラを追いかけました。



「ニニ、布団はどこに置いたの? 今日は洗濯する日なんだけど。」


「布団を洗おうと? クローゼットに入れておいたんだけど……あ、それが…。」


ピンポーン。

ちょうど呼び鈴の音が鳴りました。


「誰だ?」


お母さんが急いで下の階に降りました。


「お母さん。私が持って行くよ。」


ニニは早く布団を取り出して部屋の床にぱっと広げておきました。

机の引き出しにあったクレヨンも取り出したそうです。

絵友達と一緒に布団に絵を描き始めました。

白いウサギと青い車はお互いを見つめ合いながら素早くスッスッスッ。絵を描き、黄色い蝶と赤いバラはお互いに色まで一緒に塗りながらくすくすしました。

とても面白いみたいですね。


「え?私は誰が描いてあげようかな?」


黒い帆船がぶつぶつ言いました。


「私が描けばいい。」


絵が上手なニニはあっという間に素敵な帆船を描いておきました。


「わあ!それっぽいぞ?」


ニニと絵の友達はパチパチ拍手をしながらとても楽しんでいました。

しばらくしてニニは下の階に降りてきました。


「お母さん、布団持ってきたよ。」

布団を受け取った母は首をかしげ続けました。


「なんだか布団が変わったみたいだね。」


「違うよ。私がかぶって寝ていた布団なんだから。」


お母さんは布団にある絵を詳しく見ました。


「 ? 」


なんだかじりじりして急いで塗ったような感じがしました。

ニニと絵の友達は絵本を読んでいました。

熊が花畑で蝶を追いかける場面を見て白いウサギが言いました。


「黄色い蝶よ。 これお前じゃないの?」


「わ~!ハハハハ!」


階段を上ってくる足音。

ぱっとドアが開き、お母さんが怒ったような表情で入ってきました。

ニニはお母さんが持っている布団を見て戸惑いました。

クレヨンがにじんでぐちゃぐちゃになった布団。



「ニニ!布団に落書きしたらどうするの?他の洗濯物までめちゃくちゃになったじゃないか。」


「ご……ごめんね、お母さん。」


「一体どうしてここに絵を描いたの?」


「その......それが私の友達が溺れて息が詰まるんじゃないかと思って。」


「何だって?今何を言ってるんだ?」


「私たちだけで秘密にしようとしたの。 お母さん。布団の絵が蘇ったんだよ。」


お母さんは涙ぐんだニニの目を見つめ、プッ!と笑い出しました。


「ニニ、今見たら想像力がすごいね。 そういえば本当に前に布団にあった絵が一つもないね?」


「もう夜は怖くもない。 一緒に遊んだり、一緒に布団をかけて寝たりするんだ。」


お母さんはまだ信じられませんでした。

ところが、しばらくして、母はニニの言葉が本当だったことに気づきました。

おもちゃの飛行機の後ろからそっと顔を出して眺めていた青い車を見つけたんですよ。ブルンブルン。


「あっ!あれは何だろう?」


後を継いで隠れた場所から一つずつ外に出る白いウサギ、黒い帆船、黄色い蝶、赤いバラを見て、お母さんは気絶しそうに驚きました。


「お!かわいいニニ。 君の言うことが本当だったんだな。」


お母さんは笑いながらニーニの頭をなでた。

ニニが手振りをすると絵の友達が駆けつけてニニの胸に抱かれました。


「お母さんとお父さんには内緒にしなくても大丈夫だよ。 私たちは家族だから。」


お母さんは絵の友達を抱きしめているニニをぎゅっと抱きしめてくれました。


「君たちも本当にかわいいね。」


黄金色の日差しがニニの家の花壇を暖かく包み込んでいるある日。

ニニは青い車と一緒にブルンブルン競走をしています。

白いウサギは相変わらず、花壇をぴょんぴょん跳ねています。

黒い帆船はニニが用意してくれた大きなたらいのうねりあふれる水中で楽しく遊んでいます。

赤いバラは今日もじょうろを持って花壇の花たちに澄んだ水を提供しています。

黄色い蝶は花壇にあるきれいな花たちとも友達になっておいしい蜂蜜を吸っています。

毎日が楽しいニニと絵の友達たち。

本当に幸せそうですよね?

-おしまい-


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青い翼 Whitestar @whitestar

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