第2話 - クリスマスのピノ
ここはクリスマス王国です。
青空に白い雲が浮かんでいる澄んでいてのどかな日です。
もちろん雪が覆われている冷たい日ですよね。
クリスマス王国は雪に覆われた山で囲まれています。
宮殿の銀色の屋根は昼間は日差しを浴びて明るく輝き、夜は月明かりを受けてほのかに輝きました。
「うわぁ!」
どこからか女の子の鳴き声が聞こえました。
宮殿のバルコニーから聞こえてくるロテ姫の鳴き声でした。
「お姫様!泣かないで! 早く別の花を持ってきます。」
「花が枯れた! その花があってこそテーブルが完成するんだよ!」
侍女たちは座り込んで泣くロテ姫をなだめましたが、姫は泣き止みませんでした。
「どういうことでこんなに騒いでいるの?」
王と王妃がバルコニーに出てきました。
「 陛下。ロテ姫様がままごとをしていて、飾る花が枯れたと泣いています。」
「ああ、お姫様がまた駄々をこねるんだね。 これをどうしよう。 一度駄々をこね始めたらきりがないのに。」
王妃が姫を抱きしめました。
「ロテ、もっときれいな花を持ってくるようにするからもう泣かないで。」
ロテ姫は母親の優しい声にかろうじて泣き止みました。
ちょうど侍女が持ってきた新しい花を受け取ったロテの気持ちはすっかり平常に戻りました。
王と王妃は心配していました。
「クリスマスの祝福を受けて生まれたお姫が、今年のクリスマスも気分が悪ければ雪が降らないと思うんだけど、どうしたらいい?」
「一昨年からずっと雪が降っていません。どうすればロテの心を喜ばせることができますか?」
「はぁ、まったく。 姫が育つと少しよくなるかな。」
ロテ姫はクリスマスの祝福を受けて生まれたので、神秘的な能力がありました。ロテが楽しいとクリスマスに雪が降り、ロテの心が悲しいとクリスマスに雪が降らないのです。
それで王と王妃、王国の民はクリスマスが近づくとロテの気持ちが楽しくなるようにとても気を使いました。
しかし、ロテ姫は気まぐれだったので、機嫌を取るのが簡単ではありませんでした。
よく遊んでいてもすぐにイライラしておもちゃを散らかす時は誰もなだめることができませんでした。それで一昨年からクリスマスに雪が降らず、王国の皆さんはとても心配していました。
「今年のクリスマスには雪が降るはずなのに大変だね。」
と王がため息をつきました。
「ロテの心があんなに落ち着かないなんて、どうしたらいいでしょうか?」
王妃も悔しくて毎日眠れませんでした。
今日もロテは自分の部屋でどっかり座り込んでイライラして人形を投げ出していました。
その瞬間、廊下のどこかで金色の光が出て、かわいいウェルシュコーギーが現れました。
コーギーは赤いリボンに金色の小さな鐘をつけていました。
ウェルシュコーギーは少し開いているドアの隙間からそっと入ってきました。
「ワンワン!」
その音にびっくりしたロテが泣き止み、ウェルシュコーギーを見つめました。
ウェルシュコーギーはロテの胸に飛びつき、力強くしっぽを振りながら顔をなめました。
「ワンワン!ワンワン!」
ロテはさっきまでイライラしていたことはすべて忘れて笑ったばかりです。
コーギーがロテの顔に自分の頬をこすりながら言いました。
「ロテ姫、もう泣かないで、私たち一緒に遊びましょう。」
ロテは子犬をぎゅっと抱きしめて笑いました。
「ワンちゃん、名前は何だっけ?」
「 ピノ。」
ロテとピノはいつも一緒に通いました。
ピノと友達になったロテはだんだん心が柔らかくなりました。
イライラしなくなりました。
そしていつの間にかピノに会って最初のクリスマスになりました。
クリスマス王国の宮殿の庭園には冬の天気にもかかわらず、いつも美しい花が咲いています。
四季折々咲く花々と名前の分からない花々がそれぞれ香りと姿を誇っていました。庭の真ん中には白いブランコがありましたが、ブランコの紐は青い花蔓で飾られていました。
ロテとピノが座ってゆらゆらブランコに乗っていました。
「ピノ。今日はクリスマスなのに本当に雪が降るのかな? もう正午になろうとしているのに。」
「きっと雪が降るだろう。 心配しないで。心を楽にして。 ロテ。」
ロテは空を見上げました。
ロテはピノに歌おうと言いました。
ピノとロテはかわいい声で歌いました。
「 白いクリスマスのイブ
ときめく僕らの心
クリスマスを待つちびは
ツリーの銀鐘を振って
チャルル チャルル
玉が割れる音が響いて
いつのまにかクリスマスが近づいてくる
クリスマスに降るぼたん雪
クリスマスの玲瓏たる光 」
庭の花と鳥たちは皆静かに耳を傾けて聞いていました。
美しい花々と暖かい雰囲気。
ロテは幸せな気分になりました。
ロテの鼻先に何か冷たいものが届きました。
まさに雪でした!
わんわん!
陽気にほえるピノ。
いよいよ待ちに待った雪が降るのでした。
「ピノ!雪が降ってる! 雪が降る!」
「ロテ!本当だよ! 雪が降っている! それもぼたん雪だよ!」
ぼたん雪を見た王と王妃の喜びは言葉では表現できませんでした。
王国のすべての人々も喜んだそうです。
みんな外に出て雪だるまを作ったり雪合戦をしたりして楽しく遊びました。
ロテのおかげでクリスマスに雪が降ると世界中に幸せが広がります。
ぼたんぼたん雪。
人々は幸せになりました。
「ピノ。いつも私と一緒にいなければならない。 私は君のことが大好き。」
「私もロテが大好き。 ところで、ロテ。 ロテに言いたいことがあるんだ。」
「 何?」
「私はクリスマスの守護天使だよ。 あちこち歩き回りながら可哀想な人々を助けるんだ。今度は君のためにここに来て、君の不安定な心が治るように助けるんだよ。」
「それはどういうこと? じゃあ、いつかは去るという意味? 私たちは友達じゃないか。」
「そう、私たちは大切な友達だよ。 私たちが別れても私たちはかけがえのない大切な友達だよ。
ロテ。この世にはかわいそうな人たちがたくさんいるよ。 彼らを助けなければならない。」
ロテはとても寂しい気持ちになりましたが、前のようにイライラしたり泣いたりしませんでした。
ピノがかわいそうな人たちを助けるクリスマスの守護天使だということを理解しましたから。
それからピノに会って2回目のクリスマスになりました。
早朝からみんな外に出ていました。
ロテはピノを抱いていて、その後ろには王と王妃とすべての臣下が空を見上げながら立っていました。
すべての民も空を見上げていました。
ロテはピノをなでて、ピノはロテの手をなめました。
その時誰かが叫びました。
「雪が降ります! 雪です!」
空から白い雪が降り始めました。
人々はそれぞれ喜んで歓呼し、王と王妃はロテとピノを抱きしめてくれました。
王がローテとピノの頭を撫でました。
「ははは。偉いね。」
王妃はロテの頬にキスをしました。
「偉い、うちのロテ。」
そしてピノの頭もなでながら言いました。
「ピノ、本当にありがとう。ロテはもちろん、私たち皆が幸せなのはあなたのおかげだね。」
ピノがきらきらとした目を輝かせながら答えました。
「王妃様。ロテが努力したおかげです。 私はあまりしていないんです。」
王妃は優しく微笑みました。
雪はふわふわと降りました。
みんな手をつないでぐるぐる回りながら楽しく歌いました。
ロテとピノは本も一緒に読んで絵も描いて宮殿の中でかくれんぼもしながら毎日を本当に楽しく過ごしました。
歳月が流れて三回目のクリスマスが近づいてきました。
クリスマスイブの深い夜。
もう少しでクリスマスになります。
ロテとピノはバルコニーに出ていました。
クリスマスが始まるのを待っていました。
周りは静かで冷たい天気でした。
赤い毛布をかけているロテとピノは笑いながらいたずらをしました。
ピノはロテの頬をなめました。
やがて時計が真夜中を告げ、ついにクリスマスの日になりました。
ロテとピノは空を見上げました。
静寂が流れて。
その時夜空から何かがひらひらと降ってきました。
ピノが叫びました。
「雪よ!雪が降る!」
ロテの澄んだ瞳にも雪が降る姿がはっきり見えました。
ロテは微笑みました。
「雪だ!今度も雪が降る! 私は幸せなの!」
雪は宮殿の屋根の上に山の上に村の屋根の上に、そしてバルコニーに音もなくふわふわと積もりました。
よくちょう。
ロテの寝室の大きな窓の外には、ぼたん雪が降っていました。
ロテは目を覚ましてベッドから立ち上がって座りました。
ピノが自分を見つめていました。
ロテはピノの目を見て何かを感じました。
いつの間にか別れる日が来たんです。
ピノが言いました。
「ロテ、あなたと付き合って3年が経ったよ。 3回のクリスマスに全部雪が降ったということは、あなたの心が成長したという意味だよ。 もう君は心の安定を取り戻したんだ。 私がいなくても元気に過ごせるよ。 私はもう安心して他の人たちを助けに行くことができる。」
「ピノ、ありがとう。 あなたと別れるのがとても心が痛いけど、私はもう泣かない。 全部君のおかげだよ。 いつか必ずまた戻ってこなければならない。 待ってるよ。」
「ロテ、きっとまた会いに来るよ。 私がいなくてもクリスマスに雪が降ることを願う。」
「うん、ピノ。また会おう。」
ロテとピノは優しくぎゅっと抱きしめました。
雪はずっともこもこ降っていました。
その後もクリスマスごとにぼたん雪が降りました。
しかし、時々ピノにとても会いたい時、ロテが悲しみに陥りますが、その時はクリスマスに雪が降らなかったです。
クリスマスに雪が降るとピノが帰ってきてロテの心が喜ぶので、雪が降らなければピノが帰ってこなくてロテが悲しむのだそうです。
-おしまい-
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