第72話
「
「はい。皆、了承しました」
「そうか。それで、彼らの今の状況はどうだ?」
「術を使えぬよう封じられています。そして、屋敷には結界が張られ、外へ出る時には、物部の者が操る
と
「まったく隙がないな。不便だろうに」
「今日はもう遅い。お前も休め」
「お前の部屋へは、こいつが案内する」
と
「そいつをお前に付けておく」
と言葉を付け加えた。
「はい。ありがとうございます」
『仲間から報告があった』
と
「うむ。詳しく聞こう。部屋へ上がれ」
『我はここでよい』
蛙がそう言って、また床下へと潜り、
『敵陣へ忍び込んだ仲間からの報告だ』
と前置きして、
『その屋敷には、多くの術者がいる。出入りも頻繁だが、多く見ても五百くらい。術者の力量はほとんどが中程度。並の術者だが、霊力の強い者が十数人いる。広い敷地内では怪しげな術の修練をしていた。死んだ者の身体を操り戦わせていた。そして、
と説明した。
「
『そうだろう。我も利用されていた。人にとって
「何て非道な」
「蛙、俺は捉われた
『うむ。承知した』
蛙は心なしか嬉しそうな響きのある
翌日、
『赤麻呂、これから俺たち葛城は物部と戦う事になる。先日の件で、お前も物部に仇討ちを考えているのなら共に戦うか?』
『物部は強い。我ら大伴の術者を集めたとしても、無駄に死なせるだけだ。しかし、このまま見過ごすつもりはない。陰で協力するから、俺たちの仇を取ってくれ』
赤麻呂が返答した。彼にとっても、物部は身内の仇。しかし、大伴氏は葛城のように厳しい修行をしてきた者は少なく術者も未熟だった。赤麻呂としても、未熟な術者たちをただ見殺しにすることは出来なかった。
『うむ。ありがとう。お前の協力はとても助かる。ここに虫使いの
『時間をくれ。少し考える』
と赤麻呂は答えた。
『いい策を期待している』
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