第71話
「
「うむ、案内しよう」
と
「ここを使ってくれ」
と
「合体術を解く」
「無理をさせてすまなかった」
「俺は大丈夫だ。休んでいれば回復する。お前も力を使って弱っているんだから、俺に力を分けなくていい」
「俺たちは二人で一人。俺の力はお前の物だ。遠慮はいらぬ」
そう言って、
「力が満ちた。もう大丈夫だ」
「うむ」
「もう少し修練が必要だな」
と言葉を続けた。
陽が傾く頃、
「お食事です」
と
「おおっ! 飯だ! ここでもしきって奴を使ってるんだな?」
「子狐、箸を使え」
早速、手で食べようとする
「箸は馴れぬ!」
と不服そうな顔をしながらも、
「ほら、こぼすなよ」
不器用に箸を使う
「ほら、口を汚したぞ」
と手拭きで拭うと、
「仕方ないだろう! 箸は馴れぬ!」
と文句を言った。
食事が済むと、
「あいつら、働き者だな」
と
「そうだな」
「今日はゆっくり休め。明日は出来るだけ長く合体術を保ってみようと思う」
と続けた。
「おう! 分かった!」
外は夕日が沈み、ゆっくりと帳が下りてゆくと、涼し気な虫たちの声が秋の始まりを告げた。
一方、
「兄様、お呼びいただき光栄です。兄様のご期待に沿えるよう力を尽くします」
そう言って、
「うむ。
「兄様! おやめください。
「分かった。もう頭は下げない。だから、お前も頭を上げなさい」
「お互い、辛かったな。お前を死なせはしない。俺の頼みを聞いてくれるか?」
「はい!」
と元気な返事をした。
「では、これからお前の任務を伝えよう」
この都には、葛城氏の術者が数人いる。彼らは、物部氏の者の陰謀により、宮中での職を解かれ、自宅に軟禁状態で監視されている。彼らが謀反を企む事を恐れているからだろう。そんな状態だから、俺が直接会いに行く事も、
「はい! 喜んで!」
「では早速、この地図を見て場所を覚えてくれ。全部で五か所。五人の術者のそれぞれの屋敷だ。虫を彼らに元へ送ったら、俺の言葉を彼らに伝えて欲しい。今すぐできるか?」
「はい、出来ます」
と
「では始めろ」
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