第57話
「
「あれは仙術。人前では使わないものだ。しかし、あのままでは、あの子は死んでいた」
と
「
「うむ。もしかしたら、
と
「そうですか。
と笑顔で
「本当に貴方が来てくれて良かったです。とっても頼りになります」
と更に嬉しそうに笑みを浮かべて言った。
昼前には、その日の職務を終えて、
「
「この都には、何やら妖しげな事が起こっている。
と言ってから、
「俺は今夜、見回りをする。何が起こっているのかを確かめたい」
と言葉を続けた。
「はい、用心します。
「うむ」
その日の夜深く、
「では、行ってくる」
「さて」
「行け!」
「何が見つかるかな?」
「なるほどな」
その内の一体が、
「夜更けに失礼します!」
と声をかけたが、もちろん返事はない。
「すみません! 俺の話を聞いて欲しい!」
と声をかけると、家人が門の内側で、
「こんな夜更けに何用でしょうか?」
と質問した。
「ここに
と
「あなた様は、どなたでしょうか?」
と再び質問し、
「俺は
と答えると、
「分かりました。主を起こしてきます」
と家人は言って、暫くすると主が来て、
「葛城様、
と尋ねた。
「ああ。その妖は人の精気を吸い取る。早く退治しなければ、誰かの精気が吸い取られる」
と
「それは大変だ!」
と主は慌てて門を開けて、
「さあ、どうぞお入りください。そして、早く妖を退治してください」
と
「うむ」
「まさか、娘が狙われているのでしょうか?」
主は声を震わせて言った。
「娘の部屋の床下にいる。あなたは下がっていてください」
「捉えた」
そう言って、
「なんと、不気味な!」
主はわなわなと震え、我が身を抱くようにして怯えた。そして、
「娘は?」
と声を絞り出すと、
「様子を見に行こう。この妖は俺が縛っているから安心しろ」
そう言って、
「娘は無事だ。この妖は、俺が連れ帰る」
「さて、蛙よ。お前はなぜ都へ現れたのだ?」
「人の言葉が分からないのか?」
蛙はぎょろりと目を動かしたが、何も答えなかった。
「人の精気を吸って、妖力を得たというのに、お前は人の言葉も分からぬのか?」
「お前がなぜ、都へ現れたのか、そのわけを聞かせてくれ」
蛙は答えない。
「何も答えぬ気だな。今、都で奇病が流行っていると騒ぎになっている。それがお前の仕業だと分かった。何か釈明は無いか?」
蛙は答えない。
「仕方がない。お前は明日、朝廷へ連れて行かねばならない。人に危害を加えた妖は、即刻処刑だ。覚悟はいいな?」
それでも蛙は答えない。
翌日、
「それはなんだ? 不気味でおぞましい蛙の
「この妖が、今流行りの奇病の原因であることが分かった。その報告と、この
「
と門番に止められた。ここで、押し問答していると、
「
と
「このガマガエル、何かやらかしたのか?」
赤麻呂が聞くと、
「今、都を騒がせている奇病の原因がこいつだ」
と
「そうか。それなら、その
赤麻呂が言うと、門番は不服そうな顔をして、
「行っていいぞ」
と
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