第52話
「ここが、葛城様のお住まいになる屋敷です」
と役人が言って、下がっていった。高貴な身分である葛城氏が住むには、狭く手入れもされていない廃屋のような屋敷だった。まるで嫌がらせのようだが、
「このままでは住めないな」
ぽつりと呟いて、紙をばら撒き、
「お前たち、片付けろ」
と命じた。紙は人型となり、主の命に従い、荒れた家の瓦礫などと撤去し始めた。それから、また数枚紙を出して、
「家を建て直す。お前たち、木材と人足を集めて来い」
と命じた。
「
そう言って
「
「はははっ。お前の忠告、肝に銘じておくよ。そんな話はさておき、俺の妻を紹介する」
と言って、隣に座る
「
と
「うむ。こんな美しい妻を迎え入れるとは、お前もやるな。会うのは初めてだが、
と
「そうだ。俺が役職を得て、
「ああ、それは構わない。というか、大歓迎だ。お前の話も聞きたいしな」
と
「大変な思いをしたのだろう?
と微笑んだ。
「いえ、そんな。
と
「
「もちろんだ」
と
「さあ、挨拶はそれくらいで、もう陽も暮れる、食事にしよう」
「お前たちが来てくれるとは思わなかったから、大したものはないが、食してくれ」
「はははっ。
並べられた料理は、葛城山では食べられない物ばかりだった。
食事を終えた
「どうぞ、こちらでお休みください」
家人はそう言って、下がっていった。
「
「はい」
「
と笑みを向けた。
「うむ」
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