第45話
「私がここの
と主が威圧的に聞くと、
「俺たちは火の国まで旅をしている。途中でここへ立ち寄り、宿を探していたところ、ここの屋敷へと案内された」
と
「そうか。お前たちは仙人だと言ったな? それをあの者に証明してみせたと? ならば、ここでもそれを見せてみよ」
と主が言った。
「分かりました。では、貴方の身体を浮かせてもいいでしょうか?」
と
「それは許さぬ。もう一度、あの者を浮かせてみせよ」
と主が言う。先ほどの男の顔が心なしか蒼褪めたように見えたが、主の言いつけ通り、
「やってみせろ」
と
「うむ」
「ほう? 分かった。もう良い」
と主が言うと、
「では、聞こう。お前たちが火の国へ行く目的は何だ?」
『
と
「徐福にどのような用事があるのだ?」
と聞くと、
『答えるのは人払いをしてからだ』
と
「全員下がれ」
と家人たちを下がらせた。
「これで話せるだろう?」
と脇息に肘を付いてにやりと笑い、
『俺たちは禁術を教授頂くために徐福に会いに行く』
と
「ほう? それは興味深い。どんな禁術だ?」
主が聞くと、
『妖と化した霊魂を人の身体へ戻す術』
と
「なるほどな。妖を連れているのはそう言う事か? 徐福がその術を知っているというのか?」
主の問いに、
『それは分からない。ただ、知っているならば教授願いたいと申し出るつもりだ』
と
「そうか、面白いことを聞いた。安心しろ、この事は誰も言わぬ。他の者はお前たちが妖である事を見抜けはしない。ところで、腹は減っていないか?」
主が言うと、
「俺は腹が減ったぞ!」
と
「はははっ。そうか、では食事を準備させよう」
主がそう言って、家人を呼び、食事の準備をさせた。
「さて、続きを聞こう。一人は先ほどの話では、人の霊魂が妖と化したのだろう? そしてもう一人は?」
と主は
「ん? 俺は生まれた時から
と
「そうか。面白い三人組だな」
と主は楽し気に笑みを浮かべた。
「それでは、私の名を言おう。
と主は名乗り、
「俺は
と
「うむ。葛城氏と武内氏か。あの
主の問いに、
『そうだ』
「うむ、よく分かった」
主が言った時、ちょうど、家人が食事を運んできた。
「主様、食事をお持ち致しました」
と声をかけると、
「うむ、入れ」
主の言葉を聞き、家人たちが料理の乗った膳を運んできた。
「おお! 美味そうだ!」
と
「では、客人方、どうぞ召し上がってくれ。今日はとても楽しい」
と主は豪快に笑って、酒を煽った。ここでは主が酒を勧める事もなく、料理を堪能することが出来た。
「旅で疲れただろう? この屋敷には温泉を引いている。良かったら入ってはどうだ?」
と主が言った。
「それはいい。食事のあとに入ろう」
家人は三人を温泉のある場所まで案内すると、
「どうぞ、こちらです」
と言って下がっていった。脱衣所の家屋があり、服を脱いで奥へ行くと、露天風呂があり、たっぷりの湯から湯気が立っていた。
「これはいい」
『
と
「熱いのは駄目だ」
と
『そうか。まず、身体を流そう』
そう言って
『熱くはないか?』
と聞くと、
「少し熱いが、ゆっくりかけてくれればいい」
と
『俺は湯に浸かるが、熱かったらお前は入らなくていい。俺の傍に居ろ』
と
「おう! 俺は入らない。
と
「お風呂がお済でしたら、お部屋までご案内致します」
と深く頭を下げてから、
「こちらです。では、ごゆっくり」
と言って、家人は下がっていった。
「今日は風呂で身体を癒せて、いい気分だ」
と
「お前たち、疲れただろう。もう誰も来ないから安心して休め」
と
『うむ』
と頷いて、
「おう!」
と言って、
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