第44話
翌日、
「仙人さま、一緒にお酒が飲めて楽しかった。火の国にどんな御用で行くがか分からんが、目的が果たせることを願うちゅー」
と
「うむ。ありがとう」
他の二人も、この暑苦しい男に抱きしめられるのではないかと身を固くしたが、抱擁は
三人は
「ここからも山が続く。
『ふんっ! 誰に聞いている?』
と言って、
『行くぞ』
と先に飛翔した。
「うむ」
「
『遠い。しかし、心配は要らない』
と
三人が暫く山の上の飛翔を続けると、ようやく眼下に平地が見えてきた。
「そろそろ降りよう」
『うむ』
と
「おお! 神が降臨なされた!」
と口々に言って、平伏した。
「俺たちは神じゃない、仙人だ。頭を上げて」
と
「仙人さまか! なんと美しゅう神々しいんじゃろう!」
と褒め称えて
「なんとまあ! 美しい姫も一緒とは!」
と
『ふんっ! こいつに触れるな!』
と鋭い眼光を向けると、男は凍りついたようにその手を止めて震えた。
「ごめんね。この者たちは
と
「ん? また俺のことを、姫って言ったのか?」
と
「男じゃったのか」
「女より綺麗なのに」
「姫言うた気がするが?」
「こりゃ冗談か?」
などと、囁き合う。
「姫のように奥ゆかしさはないが、彼らが夫婦なのは事実だ」
と
「そりゃ失礼した。決して触れたりせんけん許してつかぁさい」
と男が謝った。
『ふんっ!』
と鼻を鳴らしただけだった。
「少し休もうと思うのだが、この辺りに宿はないか?」
と聞いた。
「宿なら
先ほど
「仙人さまが来られるとは、珍しいことがあるものじゃのぉ」
「初めて見るけんど、仙人さまは美しいのじゃのぉ」
「
皆、陽気に笑顔で話しながらしばらく歩くと、大きな屋敷まで来て、
「ここじゃよ」
と男が
「
と声をかけた。すると、奥から男が現れて、
「仙人という証拠は?」
と尋ねた。
「俺たちが仙人である事は重要な事なのか? それなら、証拠を見せよう」
と
「下ろしてくれ!」
と懇願した。
「ああ、怖がらせてしまったか? 危害を加えるつもりはないから安心して」
と
「仙人であることは分かった。だが、主に危害を加えないと約束しろ」
と男は厳しい口調で言った。
「うむ。危害を加えないと誓おう」
その言葉を信じて、男が
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