第37話
「お待たせしてしまって、申し訳ございません」
と集落の
「失礼致します」
と入ってきて、その後ろから料理を持った者が入って来た。
「お口に会うか分かりませんが、こんな物しかございませんので、どうかご容赦ください」
と男が言うと、
「いや、こちらこそ、突然の訪問で、このように宿と食事を用意してもらって、感謝している。ありがとう」
「とんでもございません! 仙人さまがお泊り頂いた私の方こそ、感謝しております」
と男が頭を下げる。
「感謝されることは何もしていないが?」
困惑して
「いえ、仙人さまが来て下さったことで、私たちには幸運が訪れます」
と男が答えた。
「はははっ。そんな迷信があるとはな。幸運が訪れるかは分からないが、俺たちに出来ることがあれば、この礼として何かしよう。望みは何かあるか?」
「本当ですか⁉ 望みを叶えて下さるとは! ありがたい!」
と言い、
「お食事が冷めぬうちに、どうぞお召し上がりください。食事がお済の頃、また来ます。その時に私どもの望みを聞いていただきたいと思います」
と言って、男は下がっていった。
「さあ、
「食っていいのか!」
と喜んで手掴みで食べ始めた。その姿を見て
「
『うむ』
と返事をして、
食事を終える頃、長の男がやって来て、
「お食事はお済でしょうか?」
と声をかけてきた。
「うん」
と
「仙人さま。私どもの望みを」
と男が話を始めた。
彼らは農耕を糧にして暮らしている。都への税の納付は作物と働き盛りの若い男たちであり、この集落では農耕は主に女、子供と老人ばかりだという。都では皇族、豪族が贅沢な暮らしをしている中、ここに暮らす者たちは税の取り立てに苦しめられていたのだった。しかし、この制度は
「白朱の大戦」とは、大王の座を争い、豪族、呪術師を交えた戦いである。しかし、この戦いの前に、病に伏した大王はこの
「では、こうしよう。この礼として、この地の精霊を呼び、お前たちを助けるようにと話してみる。明日の朝、精霊に会いに行ってみよう」
と
「なんと! さすが仙人さま!」
と男は感嘆の声を上げた。
「精霊が助けてくれるかは分からないが、最善を尽くそう」
「ありがとうございます仙人さま! 今夜はゆっくりとお休みください」
と男は礼を言って、出て行った。
「
「うん。もう、この辺りの精霊は俺に好意を持っている。話せばきっと協力してくれるだろう」
と
「そうか! さすが
と
『ふんっ!』
と
「なんだ?
「
と
「さあ、そろそろ、寝ようか?」
と
「おう!」
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