第36話
日が傾き始めた頃、
「暗くなる前に宿を探さないといけないな。
『うむ』
と
『
と
「おう、よろしくな!」
『ふんっ!』
と
「それじゃあ、行こうか」
と言って飛翔した。暫くすると、眼下に灯りが見えてきた。
「降りてみよう」
そこは小さな集落だった。
「なんと! 神が降臨なされた!」
と平伏した。
「驚かせて済まない。俺たちは神じゃない、仙人だ。旅をしているのだが、この辺りで宿を取れるところはないか?」
と
「仙人さまでしたか。この辺りには宿はないですが、私の所でよければ、どうぞいらしてください」
と答えた。
「それは、ありがたい」
そう言って、男について行くと、粗末な建物が幾つかあり、その中で一番大きな建物が男の家だった。
「私はこの集落の長です。さあ、どうぞ入って下さい」
大きいといっても、他の家が小さいだけで、この家も
「妻と子です」
と男は
「仙人さま方だ。挨拶をしなさい」
と言うと、
「妻です」
と女がお辞儀をして、
「子供たちです」
と子供たちにも頭を下げるように促した。子供たちは母に倣って頭を下げた。
「うむ」
と
「今日は仙人さま方にお泊り頂くことにした。お前たちは妹の家に行きなさい。私は弟の所へ行く」
と男は家族に言って、
「仙人さま、お食事は済まされましたか?」
と
「いや、まだだ」
と
「では、ただいま、ご用意致しますので、お待ちください」
と言って、家族を促して出て行った。それを見て、
「なんだか、悪い事をしたな」
と
『気にすることはない。あの者はここの長であり、俺たちを迎え入れたのもあの男だ。この好意を甘んじて受けよう』
と
「おい、
いつまでも
『ああ、お前を抱えていたことを忘れていた。あまりにも軽すぎて』
と
「なんだと! 馬鹿にしているのか⁉」
と
『大人しくしろ、落ちるだろう?』
と
「ふんっ! ここなら落ちても痛くないぞ!」
と
『そうか?』
と言って、
「痛い!」
と叫んだ。
『ほら、痛いだろう? だから大人しくしろと言ったのだ』
と
「
『ふんっ!』
と鼻を鳴らした。
「まったく!
と
「
と
『その必要はない。痛くはないはずだ。俺の力で浮かせていた』
と
「ん? そう言えば、痛くないな」
『
と不機嫌な顔で
「はははっ。お前が
と
『無闇に触れるな』
と
「なんだ? なんで二人は言い合いしてるんだ?」
「
と
「
と言ったあと、一つ息をついて、
「
と言葉を続けた。それを見て
「え? 何? 気持ち?」
と二人の顔を交互に見た。
『
と一言言う。
「おう! ありがとう!」
と
「まあ、今はこれで良しとするか」
と笑ったが、意を決した
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