第22話
翌朝、
「やっと、ここまで来たな」
「海を越えれば
そんな
「俺には遠い。こんなに遠くまで来たのは初めてだぞ」
と
「どこかで宿を取ろう」
「宿をお探しですか?」
と声をかけてきた。
「はい。知っていれば案内をお願いしたい」
と
「では、ご案内致します。どうぞこちらへ」
と男は歩き出した。急に声をかけて来た男に、妖しい気を感じた
「こちらです。街から離れましたが、ご心配には及びません。さあ、どうぞ中へ」
男に言われるまま中へ入ると、妖邪の気はさらに強くなる。
「こちらでお休みください。お食事はいかがなさいますか?」
と男が尋ねたが、
「食事は要らない。案内してくれてありがとう。もう行っていいよ」
と
「ここは一体なんだ? 何がいるんだろう?」
「猫だ」
と
「あの男は猫だ。だから、ここにいる強い邪気を持つ者も猫だろう」
と
「俺たちをここへ連れて来て、何がしたいんだ?」
『決まっている。俺たちを食うつもりだ』
と
「そうだろうな」
「さて、
「おお! これはすごい! お前の服はどうなっているのだ?」
「袂の中には俺の領域を作っている。物を入れたり、状態を保ちながら保管できる。その料理も傷んではいないから、安心して食べなさい」
「
袂から青菜を出して、
「さて、そろそろ始めようか?」
そう言って、結界を解いた。すると、それを待ち構えていたかのように、猫の
「みんなで、俺たちを歓迎してくれているのかな?」
笑みを浮かべて
「お前は何者だ? 狐と兎もただの獣じゃない。何を企んでいる?」
先ほどの男が、人の姿を解いて、猫の姿で言う。
「俺をここへ連れて来たのはお前だ。お前たちこそ、俺をどうしようとしていたのだ?」
と
「ふん! それを聞いてどうする? 俺たちが人を食って何が悪い? お前たち人も獣を捕って食うだろう? 同じことだ」
猫の男は、悪びれることなく言った。
「そうだな。お前は正しい。だが、俺は黙って食われはしない。俺がここへ来たのは、宿をとるためだ。静かにしていてくれると助かるのだが?」
「は? お前、何を
男が呆れたように言う。
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