第20話
「これはどうした事だろう?」
「雨が降らず、土は乾き、作物は枯れ果てた。この地は神に見放されたのだ」
と嘆いた。
「それはお困りでしょう。まずは皆に水をあげよう」
「それでは、家へいらしてください」
男について行くと、彼の家族は皆項垂れて、動く気力もないようだった。
「喉の渇きを癒しなさい」
「なぜ、その水は減らぬのですか?」
と男は尋ねた。
「これは水の神から授かった物。常に清らかな水が湧き出るのだ」
と
「そのような物を神から授かる貴方こそ、正に神ではないか?」
と言った。
「俺は神ではない」
「この国を治める者に会いたい。どこへ行けばよいか?」
と尋ねると、
「では、私がご案内致します」
と言って、
「何者だ?」
屋敷を守る者が尋ねると、
「
と答えた。
「連れの者は?」
と聞かれた
「友人の
と答えると、中へ通してもらえた。
「
と
「火の国まで行く途中ですが、この国が酷く乾いていたので、何事かと案じて足を止めたのです」
と答えた。
「それで、お前に何が出来るのだ? 我らが何の手立ても講じていないと思うのか?」
「いえ、そうではありませんが、俺に出来ることがあると思い、ここへ来たのです」
「お前一人に出来る事などありはしない。神でもないのに」
と笑い飛ばした。そんな態度に、
「お言葉ですが、方法を間違えたのでしょう」
と
「何と、無礼な!」
と
「落ち着いて。俺が何とかしましょう」
と言うと、
「そこまで言うのなら、雨を降らせてみよ! 出来なければ、お前の首を刎ねてやる!」
と激怒して言った。
この騒ぎが皆に知れ渡り、
「さて、この地の神々。何をそこまで機嫌を損ねたのだろうか? この地の者たちをなぜ苦しめるのだ? 姿を現しそのわけを話してくれ」
その場所は、神々が住むと言われる神聖な山。しかし、誰も神の姿を見た事はなかった。
しばらく静寂が続いたが、サラサラと木々の葉が風に揺れ、晴れ渡っていた空を暗雲が覆いつくした。そしてついに、神が現れたのだった。
『我を呼ぶ者は誰ぞ?』
不機嫌そうに現れたのは女神だった。
「呼んだのは俺だ。貴方はこの地の神か?」
『我は海の神。強い力で呼ばれたのだ。我に何用だ?』
「そうか。来てくれてありがとう。この土地に雨が降らず、民が憂いている。雨が降らぬ理由を聞きたい」
『それは、我のせいではない、山の神だ。面倒がらずに、姿を見せよ』
海の神がそう言うと、
『我を
と山の神が姿を見せて言った。
「そう怒るな。それが人の
『うむ。お前の言う通りだな。我の力をとくと見るがいい!』
山の神が言うと、暗雲から稲光が走り、恐ろしい轟が響き渡ると、激しい雨が人々を打ち付けた。
「偉大な山の神に感謝を」
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