第15話
「さて、旅はまだ始まったばかりだが」
先の長い旅だが、
そこでまずは以前、訪れたことのある出雲の国へと
「その術は便利だな」
「そうだな。しかし、これには霊力を多く使う。だから、暫くは使えない。明るいうちに進もう」
そう言って、
「ここからだと、目指す場所は近いのか?」
「ここからでも遠い。でも、だいぶ近付いたよ」
と
出雲の国についたばかりだが、ここにも関所が設けられていて、通行手形の確認が行われた。役人が手形の書面を見て、
「
と
「彼は同族ではないが、友人だ」
と
「いいぞ。行け」
と役人は追い払うように言った。
「ありがとう」
「ここも都みたいに人が多くて賑やかだな」
「そうだな。ここは物作りの街として栄えている」
と
「変わらないな」
と
「え?
「ああ。だから、
と
「兄上~! 待ってくださいよ!」
と幼い少年の声が聞こえてきた。
「兄上じゃなくて、姉上って呼んでって言ってるじゃない」
と少女が答える。
「だって、兄上は男だから姉上じゃないですよ」
と幼い少年が言葉を返した。少女は後ろを歩く幼い少年を振り返りながら小走りで歩き、
「娘さん、大丈夫? ちゃんと前を向いて歩かないとね」
と微笑みを向けて言った。
「あら、ごめんなさい」
と少女は顔を上げて
「あっ!
と声を上げた。
「そうですが、どこかでお会いしましたか? こんな美しい方を忘れるなんて、俺は恥知らずですね?」
と
「あら、
と
「あの
と
「そうですよ」
と
「気が付かないわけだ。あの時はまだ小さな少年だったのに、今は、こんなにも美しく成長しているのだからな」
と
「兄上? お知合いですか?」
と
「ええ、そうよ」
と
「
と言うと、
「
とぺこりと頭を下げた。
「うん。
と
「
と
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