第3話
今は白兎の姿をしている者と、仙人の風貌をした若者。彼らの旅には、ある目的があった。
国を治める大王の主権を狙う、二大勢力の争い。武力に加え、呪術を使う者たちを交えた戦いは、まるで地獄絵図のように悲惨極まりないものとなった。この戦いに、呪術を操る者として、参戦していたのが、この若者で、名を
その戦いが始まったのは、
その当時の大王は病に伏し、次期大王を決める必要があった。皇位継承の資格のある皇族を擁立する豪族たちによる争いは、日ごとに大きくなり、呪術を使う者たちに後継者候補の命を取るよう命じた。これにより、招集命令が発布され、集められた術者の数は双方合わせれば千を越えた。どちらの勢力も甲乙が付かぬほどの互角であり、もはや、皇族の皇位継承とは関係なく、術者たちの戦いとなった。身内を殺され、復讐の念を強く持ち、互いに殺し合い、
「
「殺された者たちの為だ」
そんな中、敵側の術者が禁術とされる鬼術を使い、死んだ者たちの骸を傀儡として操った。その骸は敵の者だけでなく、味方の者までいる。死者への冒涜であり、皆が怒りを露わにし、襲って来る身内の亡骸に戸惑うばかりだった。
「なんて恐ろしいことを!」
「なんて、外道な!」
口々に悪態をつき、涙を流しながら、止む無く仲間の亡骸を切り捨て、払い除け、焼き払った。
「こんなこと……。俺には出来ない」
目の前に現れた傀儡は、
「
それに気付いた
「駄目だ、死ぬな!」
「嫌だ! 嫌だ! お前を死なせない! 俺が死なせない!」
「おい! それはいけない事だ!」
仲間に言われた言葉など、
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