新員

「面白いことになりましたね」


「会長、面白いって・・・・・・」


「ふふふ。まぁ、いいじゃないですか。少なくとも、わたくしの見解では良くないことにはなりませんよ」


「本当ですか?・・・まぁ、会長がそうおっしゃるのなら・・・・・・」


「???古杣さんは、あまりって言うか、チャコがここに霊体として居ることは反対なの?」


「うふふふ・・・いえ、千鶴ちづるさん。古杣さんはね、苦手なのです」


「え?!犬が?」


 古杣さんの方を見ると、恥ずかし気に困った顔をしながら梓さんを見つめる姿があった。ふふふ。これは面白いことになりそうだ♡


 桃ちゃんがずっとチャコと戯れている。ボクには視えるから普通の光景だけど、見えていない人からすれば空中に浮いている首輪と遊んでいるおバカな子にしか見えないんだろうなと考えると、また可笑しくなってくる。


「しかし、なんで着いてきてしまったのでしょう?」


「恐らくは、桃華さんのを気に入ってしまったのでしょう。シャルルさんののように、嗅覚が私たちとは次元が違いますからね」


「なるほど」


「・・・ってことは、この子はオスかな。・・・あ、うん、オスです♡」


「ただ、千鶴さん、桃華さん。この子・・・チャコさんもいずれは『縁』が繋がる時が来ます。その時は悲しいですが、お別れが必要となります。現世では『死』が永遠の別れ。しかし彼の地では『生』が永遠の別れとなります故、それを私たちが止めるなんてことはもっての外ですよ。肝に銘じておけますか?」


「ああ、うん。勿論です。逆にそれって素敵ですね。死ってボクたちからすれば悲しいことですが、生きるって聞いたら素晴らしいことのように思えますし」


「まぁ、普通の感覚ではそうですね・・・・・・」


 ???ボク、何か変なこと言ったかな?なんだか梓さんが少し暗くなった気がした。


「うちも勿論やで。きっと、チャコの家族やった人らはしっかり供養してくれるやろ。そしたらまたその『縁』ってのが出来て、チャコ、本当の家族の元へ帰れる。きっと。間違いないもん。飼い主のあの子が結婚して、子供でも出来たらきっとその子にチャコは転生すんねん。だから、絶対、大丈夫」


 桃ちゃんにチャコは見えないはずだけど、寝転びながらチャコを持ち上げて顔と天井を見つめながら、真面目にそう断言し語った。


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