『座敷牢』後編

チャコ

「いたたたたたっ・・・ちょ・・・桃ちゃん」


「マジwww何してんのよあんたwww」 


 桃ちゃんに憑いてきたチャコは、ボクが苦しむ中で持っていた首輪に目掛けて飛びついて咥え出した。


「www・・・えぇ?!」


 チャコは喜びながら自分の首輪を咥えては首を左右に振り、離しては匂いを嗅ぐ。ボクを見ながら二言吠えた。しかし、声は聞こえない。


「ちょ、・・・ちょっと待ってね・・・・・・」


 ボクの足は麻痺から痺れへ変わって最大値の峠に差し掛かっていた。

 桃ちゃんが浮遊している首輪の所へ移動してきた際

「いったーい!ちょっと・・・やめてぇ・・・・・・」


「あ、ごめん」

 ボクの足に桃ちゃんの足がぶつかった。絶対にわざとだ!!


「ちゃうやん、これなによ?」


 桃ちゃんはそう言って首輪に手を伸ばした。


「・・・あ!え、マジ?チャコがここにおるん?!」


 どうやら桃ちゃんも首輪を通してチャコの存在に気が付いたようだ。


「・・・うん、そう・・・桃ちゃんに着いてきちゃったみたい汗」


「あんた、視えてん?」


「うん、首輪付けて欲しいみたい」


「やーん♡チャコー♡あんた来てもうたーん♡・・・あ、ほんまや、ここおるで、ほら」


 桃ちゃんはチャコを普通に抱きかかえた。


「え・・・ちょっと、桃ちゃん、触れるん?」


「wwwみたいやなwwwちょっと、やめて、なんかくすぐったいwww」


「桃ちゃんの顔、ずっと舐めてる♡」


「えー♡ちょっと、どうするぅ?」



「・・・なんで犬の声がここでしてるの?」


 古杣ふるそまさんが珍しく今日は早く帰って来ていた。


「あ、古杣さん♡」


「ああ、ソマっち、あんなぁ・・・・・・」


 桃ちゃんがチャコの一連の経緯を話し出した。


「君たち、凄いことをしているね。こんなことは初めてだよ。梓さんに報告と、今後どうするべきか判断してもらった方がいい」


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