霊物

「おっはよー!!・・・あれ?シャルは?」


「あ、桃ちゃん!おはよー。シャルは今の内に洗濯しに行ったよー」


「ふぅ~ん。ってか、ちーちゃん今日は朝早いね」


「うん、あんね、梓さんに良い助言を貰ったの。あ、ボクらの件の話でね。だから早く試したくてさぁ」


「へぇ~、・・・え、じゃあ、チャコ追跡、何とかなんの?!」


「うん!・・・多分。汗」


「ほな、さっさと終わらせてしまおー」


「おー」






「はい。一旦、みんなでこれ食べようか」

 シャルがおつまみでよく見るミックスナッツを中皿に入れて持ってきた。


「・・・なんで?」


「本当はヤギか羊のスモークした肉か、桃かイチジクがいいんだけどね。今は旬じゃないし、肉はダメだし。なら、豆がベストなんだよ」


「どうベストなの?」


「『スピリチュアル・フード』って言ってね、霊的なことが安定するんだよ。生け贄とされてきた動物なんかは儀式の時や狩りの前に肉体と精神の強化として使われ、桃や豆類は不思議な効果が昔からあるとされている。ほら、『桃源郷』とか『ジャックの豆の木』とかあるでしょ?」


「なるほど」


「なんや、あんたなりにちゃんと考えてんねんやん!」


「えへへ」



 ボクらはおやつ感覚でナッツやクルミなどを食べながら、改めて梓さんから聞いた『協調』『cooperate《コアポレイト》』の説明をしてみんなで考えてみた。



「まぁ、一回、深呼吸して落ち着かせて遇わせてみよう。心臓なんか分からんって。ソマッチがいたらみんなのん聴こえていけるんかもな」


 三人で呼吸を合わし、深呼吸しながら座禅の真似事をしてみた。




「ええかな」

「いいんじゃない」

「とりあえず・・・・・・」


 桃ちゃんの温かい湯気オーラに包まれながら、ボクの『第三の目』が開く。シャルが気配を探り、桃ちゃんが誘う。ボクが発見をして、シャルが把握する。桃ちゃんが連続した時間を感じ取り、ボクらがそれを追う。



「・・・視えた」


「うちも、なんかぼんやり」


「うん、僕も目を瞑ってるのに、何かが光って見える。これが千鶴ちゃんの『霊視』?」


「・・・ああ、消えていくで?なんで?」


「・・・ああ、だめかぁ」


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