共拍

 ずっと無知なもの同士が考え悩んでいても埒が明きそうも無かったから、その夜もあずささんに相談してみた。



「・・・そうですか。皆さん頑張ってくれて、わたくしは嬉しゅうございます」


「いえ、でもね梓さん、失敗ばっかりっていうかそれぞれの力を出すだけで、そこから何も始まらないんよぉ」


 ボクらはピラミッドの上から広大な砂漠と、反対側は意外に発展していて観光都市となっている景色を見ながら話し合っていた。


千鶴ちづるさんの力は、もうかなりご自身で引き出せていますよ?」


「・・・え?だって、まだボク一人じゃあ・・・・・・」


「しかし、こんなにも遠く離れた場所を見ることが出来ているではありませんか」


「・・・これは、梓さんの力とお化粧のおかげでしょ?」


「私は主にコントロールの方を微調整しているだけですし、化粧けさうはもう悪しきものから視られないようにする隠れ蓑だけにしてますよ?」


「・・・マジ?」


「・・・マジ。です。視野角の訓練はもう大丈夫そうなので、後は『』だけですね」


「ほうしゅつ?」


「色んな言い方が御座います。念力、霊力、超能力など。私たちはこれらを『法力』と言います。その出力の度合をと言い、千鶴さんはご自身の自信の無さから出力を躊躇しております。この場では私が居ることの安心感からか、十分な法出をなさっていてまだ制止的にではですが、それにより遠隔が可能かと」


「ほ、本当ですか!?」


「はい。なので、導きだけがあればどのような場面でも視ることが出来ましょう。その導きは桃華さんが。流動する時間をシャルルさんが追い、千鶴さんは明確な意思を持って目端を聞かせていけばよいだけでしょう」


「ど・・・それを、どうすればいいんでしょうか?!」


「先ずは、皆さんの呼吸を合わせてみて下さい。大きく深呼吸をすれば他の方の呼吸の拍子が分かりやすくなるでしょう。それを繰り返して平常時でも同じように吸い、吐いていきます。そして、次は心臓の鼓動。心拍を合わせます。全員が落ち着き、同じ心境がいいでしょう。体格差があれば身体の小さい方がより安静、安定させてください」


「心拍数・・・リラックスすればいいんですね」


「シルバさんとお唄を詠い、声が戻りましたでしょう?」


「あ、はい」


「あれも、歌という拍子を使って呼吸が自然と合い、音響と音階にて心が安らいだ結果、千鶴さんとシルバさん、そして演奏をしていた古杣さんまで『協調』したからでございます」


「へぇー、歌いながら意識せずに自然とやってたんだぁ!」


 だから、古杣さんの『霊聴』の影響を受けて、変な声も聞こえてきたんだね。・・・えっと、誰だっけ?


「色んな拍子を合わせていってください。例えば、まばたきや感情、緊張、良くはない影響ですが、恐怖など。『協調』『協力』『共有』『同調』そして、『共感』から『共鳴』。今までの力は、要は足し算、引き算しか出来ていません。共鳴までするとその力は掛け算となり、莫大な進化を遂げますよ」


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