『座敷牢』中編

疑問

「「シャルー♡後、何をすればいい??」」


 ボクたちは率先して屋敷内の家事をこなしていく。


「な、なに?今日は本当にどうしたの?二人して・・・怪しいなぁ」

 そう言うシャルだけど、なんだか嬉しそうな顔をしている。


「いいからいいから、んで?これ混ぜとったらいいんか?」


「あ、ああ、お願い・・・だから、どうしたのよ、怖いんだけど」


「さっさと仕事は終わらせましょう!善は急げ。ボクは洗い物しときます!シャルは夕食の下準備があればやってて♡」


「んー、まぁそうだけど・・・あ、今日はデザート無いよ?」


「ええねんええねん、そんなことちゃうし。全部終わったら後でうちんとこ来てな」


「・・・そんなことちゃうて、じゃあどんなこと?」


「うるさいなぁ、こんなかわいい娘が二人も来いっつってんねん。男なら黙って来ぃや、アホ」


「・・・え?・・・マジ?」


「『紅菊桃』の部屋やからな。・・・ってかあんたには説明いらんか。部屋がどう変わろうが匂いで特に、うちんとこはよぅ分かるんやろ?買い出しはまた後で行くで」


「あ・・・ああ、わか・・・った」


 ボクらは今まで以上にテキパキと、怒涛の如く家事をこなしていった。






 いつもの半分の時間で洗濯も掃除も終わらせた。自分たちのポテンシャルの高さにも驚きつつではあったけど、そんなことより犬のチャコが気がかりで仕方がなかった。


 ふと、シャルを待っている間にボクはある疑問がよぎった。


 桃ちゃんは夕方過ぎには殆ど実家に帰る。以前、深夜にボクと桃ちゃんが温泉で出くわしたのは次の日が祝日で、本当にたまたまゆっくりここで休みに来ただけだった。現世で予定が無い日はこの『マヨヒガ迷い家屋敷』によく泊っていくから、一応に『紅菊桃』の間を部屋として宛がわれている。


 シルバちゃんと古杣ふるそまさんは訓練と結界の強化、仏間の手入れや細かな清掃、まるでお坊さんのような毎日。


 ボクと梓さんは千里眼の訓練。その後、梓さんは色々とバタバタとしている。具体的に何をやっているかはまだボクには謎だ。でも、かなりこの屋敷内のあちこちでばったり会うことが多いのは、忙しくしているのだろうということが伝わる。


 で、疑問とは、シャルは何やってんのだろう??


 朝、昼、晩と食事の準備と料理を毎日やってくれている。昼の合間は桃ちゃんと一緒に家事の全般作業。でも、夜は?


 夕食後、シャルだけは見かけたことがなかった。温泉行ったりシルバちゃんや桃ちゃんとこに遊びに行ったり、かなりボクもウロチョロしてるんだけどね。


 そんな疑問を感じたのは、今からやる『協調』のシャルの”ケツ”の心配があったから。


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