使用人
ボクは声が戻ってからは歌いまくった。約一か月間、ほぼ毎日『霊言・霊聴』訓練に顔を出し、シルバちゃんと一緒に歌っている気でいたら・・・・・・
・・・将門・・・・・・
あれはなんだったのか。
ボクの力は『霊視』。声が聞こえてくるはずは無いのに。
古杣さんの影響かな・・・・・・?
まぁ何にしても、もしかしたらそのおかげでボクの声が戻ってきたのかもしれない。将門公にも感謝しないとね♡
流行りだったボクの大好きな女性ボーカルの曲を口ずさみながら、またまた温泉に向かった。霊言の影響も多分にあるだろうけど、ここの環境と秘湯の温泉にも声を治す効果があったのかもしれない。ここと全ての繋がる場所がパワースポットみたいなものだからね。
この『
温泉は立ち上る湯気が大きな隙間となり、含まれる成分によっては繋がりやすいんだそう。気体と液体の『狭間』の、どちらでもない混沌の空間・・・・・・
・・・・・・
・・・って、また迷子になった汗
いやいや、ずっとここ、洋式ダイニングを真っすぐ抜けて、左に曲がった突き当りにあったじゃん!!その突き当り自体が無くなってんだけど涙・・・もう、大分と歩いたけど??
そのまま適当に歩いてきて、不安から呑気に歌っている場合ではなくなってきた。
そしてまた、気が付いたら和風空間から中華風へと変わってきた所で、前回の箱部屋のことを思い出し嫌悪感からすぐに引き返そうとしたその時、左手の一室の部屋から甘い、桃のような桜のような香りがしたような気がした。
嫌な雰囲気はなく、甘い香りがずっとしている。
よし、視て見よう。
ボクはもはや罪悪感に苛まれながらも、『千里眼』の力を乱用している自分が嫌になってきた。これが最後だから。訓練の一環だからと自分に言い訳しているのにも腹が立ってくるが、前回のあの異様な箱の部屋に入ってしまうようなことは絶対にしたくない。だから、仕方がないよね。
甘い香りの部屋の中を覗くと、一人の女の子がチャイナ服にエプロン姿で部屋の掃除をしていた。ボクと同じ年ぐらいだけど、ボクはまた知らない人と出会いキョトンとして一時の間、じっと見てしまっていた。
ボクはなんだか完全に変態みたいだ。でも違うんだ。彼女のオーラは乳白色と赤が混ざったようなグラデーションをしていて、綺麗なピンク色に見惚れていたのもあったのだ。
すると、奥の方からシャルがやってきてなにかをその女の子に渡していた。シャルの顔はなんだかデレデレしたような、変な感じで照れ隠しをしてるいやらしい目をしながら何か会話をしている。
ははぁ~ん。
ボクはもうすぐに分かったよね。シャルはこの子のことが好きなんだ。
ずっと覗きをしながら必死に考えた。初めましてのかわいい娘と仲良くなりたい欲求と、シャルの邪魔をしちゃいけないという誠実さの『狭間』で!
う~ん、と悩みながら考えていると、シャルの方からこっちへとやってくる。ボクはなんだかヤバイ汗っと思って逃げようとしたけど
「・・・何してるの、千鶴ちゃん」
あ、そうか、シャルの嗅覚でバレるよねと、ボクは諦めて観念するしかなかった。
なんか、ごめん・・・・・・
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