第八話 祇園精舎

祇園精舍の~鐘の声~ 諸行無常の~ 響きあり~


娑羅双樹の~花の色~ 盛者必衰の~ 理を~あらはす~


おごれる人も~久し~からず~ ただ春の夜の、夢のごとし~


猛き者もつひには滅びぬ~ ひとへに、風の前の~ 塵に同じ~・・・・・・




 シルバちゃんが唄を詠うと、みんなは『迷い家まよいが』と言っているこの屋敷全体の結界や隠れ蓑の力が増大したり、魔除けの効果が上がるらしい。誰かが現世というか、現実世界を出入りする時なんかは特に悪霊などが入ってこない様にするのと、一般人でも霊感が強い人がたまにこの空間に入ってくることがあるので定期的な儀式のようにしているんだって。


 この「迷い家」というのは様々な場所と繋がることができるが、逆に繋がりが強い場所と人間がその場で「願う」と、姿を現してしまうらしい。最近、日本国内では地方も都市化が進み「紡ぐ」場所が少なくなってその限定された分、繋がりが濃くなってきていると梓さんが言っていた。


 特に、ボクを含めここに住む人たちがそれぞれの『縁』がある事柄は、頻繁にシルバちゃんの『言霊』の力を使って必要があって、それを怠ると「夢枕」やちょっとした影響もこの迷い家の中でさえ出てしまうことがあるそうな。例えばその影響とはシャルで言うと『血の』を感じ気分が悪くなり、古杣さんはからの頭痛、ボクは鏡や窓の外に霊をしまったりね。この間はお風呂場で視えてびっくりしたよ。


 だから”関わりのある唄”があればそれを重点的に詠い、霊の心を和ませたり冷静にさせたりすることが出来る。ボクらも子供の頃に聞いた童話や懐メロを聞くと落ち着いたり懐かしんだりするよね。それは霊や神様も同じだから、祭りごとでも歌い踊り、太鼓や笛とか数々の和楽器を打ち鳴らす。

 ただ、その唄も演奏もその場の種類を間違えると逆効果となるので、古杣さんのヒヤリングが重要となるのだが、高等な霊となると「てくる」ケースもあるらしい。なので現状は確実性の高い実績のある歌だけにしているんだって。




 祇園精舎・・・壇ノ浦・・・・・・

 平家物語って、源氏と平家の戦いの話だったよね。

 どちらかに関係があるのかなぁ。




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