第五話 クレア・コンヴァイ

「俺は霊たちの無念や声を聴き、それをシルバが語る。そう、昔、日本に多く居た『』のようにな」


 ずっと邪魔をしないように気を使って黙ってくれていた古杣さんが会話に参加してきた。


「梓さんの提案で、私たちがペアを組んで『浄霊』の在り方として確立してくれたのです。私の『言霊』は、間違えるとちゃう可能性があって危険だって。ただの普通の歌ですら、意味が込められている場合に影響を及ぼしかねないから、その能力コントロールの訓練も兼ねて。そしてこの『迷い家』の結界効果も状況に応じた私の唄で強化できるんだそうです」


「その基本練習として、琵琶法師の語りは最適でありその意味合いも同じなんだ。例えばその中でもとは平家の無念を謳った唄。様々な無念を聴き、忘れ去られない様にと唄として、どう伝えるか」


「私がその声たちを”聴けない”から間違い、古杣さんが”伝えれない”から戸惑う」


「シャルが感知し、会長が体感する。そして千鶴ちゃんは視つけ全てを”目認”していく宿命にある」


「・・・え?あ、じゃあ、千鶴さんが探していた例の?」


「そう、『霊視感能力者』だ」


「では、私たちものんびりしている場合じゃないってことですね」


「ああ。がんばろう」


《え、なになに?なにを?》


「ああ、ごめんなさい。これでのメンバーが揃ったって事です。千鶴さん、よろしくお願いします」


《あ、はい、こちらこそ・・・じゃなくて、これから何をしていけばいいの?》


「前に会長が言っていただろ?君は会長のになって欲しい。俺らが聴き、シルバが伝えるという様に、千鶴ちゃんも視たことを誰かに共有する。そんな訓練をここでしていってくれ。細かいことは、また・・・・・・」


「・・・じゃあ、千鶴さんも、大変な運命だったのですね」


《ああ、はい、まぁ・・・・・・》


「・・・私はこの霊言感能力が原因で、父も母も死んでしまったです」


《らしい??》




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