『クレア・コンヴァイ』
第一話 壇ノ浦
激しい『琵琶』の演奏と共に・・・・・・
・・・二位殿~は~、帝を抱き~、奉~り~~ 君は~万乗の主と、生まれさせ給え~ども~
御運~、既に尽させ給いぬ~ 西方浄土の来迎に、与らんと~思召し~ いやはや、御念仏唱え給え~ 浪の下にも~都の候~ぞと~~ 幼~き帝もろともに~ 千尋の~海へぞ~~ 入り~~、給う・・・・・・
桑の木で出来た本体の撥面に、
言葉の歌詞は殆どの言い回しが古く、ボクにはさっぱり聞き取れずに意味なども分からなかったが、琵琶の音とその歌声はなんだか魂にまで届き、響き揺るがすかのような迫力で廊下を歩くボクの足を止めてつい聞き入ってしまった。
ボクは、なんだか邪魔をしてはいけないと思い、またそっ、と襖を締めてなんだか複雑な気持ちになった。
すると
《もっとお聞きになられても大丈夫ですよ?》
ボクはびっくりして後ろを振り向くと、
《おはようございます
ボクの目が点になって頷くことしか出来なかった。梓さんは笑顔で
《幽体の私であれば、目聞き、語ることは十分可能なのですよ。足はもう大丈夫でしょうか?》
《・・・あ、そうなんですね!はい!ありがとうございます、お薬が凄く良くて、もう痛みは完全に無く、ほら、この通り》
そう言いながら足の裏を見せた。
《まだ無茶はしてはダメですよ。・・・さぁ、中へどうぞ》
梓さんは襖を開けず、そのまますっと消えて入って行った。ボクは追いかけるように、でも静かに襖を開けて申し訳なさそうに入って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます