最終話:懲りないやつ。

マンションの外で天罰博士とすったもんだあったせいでトマトの

ことがマンションの住人たちにも知れることになった。


だからお茶柱博士と立郎はトマトを連れて挨拶に回った。


最初に挨拶に行ったのは、お茶柱博士もよく通っている「マグカップ」

って名前のカフェに勤めてる「夕張 メロン」さん、30歳。


「あの、こんにちははメロンさん」


「まあ、博士・・・こんにちは・・・お家賃の催促?」


「いやいやお家賃なんて、そんなものいただかなくてもいいんですけどね」

「そうじゃなくて・・・」

「あのもうご存知とは思いますが・・・この子うちの養女のトマトです」

「可愛がってやってください」


「まあ、可愛いお子ちゃま・・・トマトちゃんって言うのね」

「よろしくね」


「よろしく」


トマトはちょこんと頭を下げた。


「トマト・・・じいちゃんはメロンさんが好きなんだぞ」


「こら、立郎は余計なこと言わんでええんじゃ・・アホか」

「次、大根さんちに挨拶に行くぞ」


で、三人は隣の家の「大根さん」ちも挨拶に行った。

大根さんは市の廃棄処理場に勤めてる人。


お茶柱博士は大根さんを重宝している・・・・と言うのも廃品の中から

まだ使えそうな部品を調達してくれるからだ。

博士の研究に大いに役立ってくれている。

だから家賃は他のみなさんには内緒で半額にしている。


「あのもうご存知とは思いますが・・・この子うちの養女のトマトです」

「可愛がってやってください」


博士はメロンさんに言ったことと同じことを言った。


そしてもう一軒は、お年寄り・・・老婆がひとりで住んでいる。

お名前は「角田 L子」けっこう有名な絵本作家。


L子さんはもうすぐ100歳・・・でもそうは見えない。

腰も曲がってないし、しゃきしゃき歩いて一人で何処へでも行く。

このおばあちゃんは、こんなに原意なんだからロボットなんじゃないかって

立郎は密かに思っていた。

で、おばあちゃんは、その後昨日見たトマトの活躍を絵本にすることになる。


「近所の挨拶なんぞ面倒くさい・・・これもみんなあの天罰のせいじゃ」

「懲りんやつじゃから、絶対また来るぞ」


「それはそうと、トマトのことじゃがお前の学校に入れようと思うんじゃ」

「家にいて、わしの研究の邪魔をされても困るからのう」

「わしも、おまえが学校に行ってる間トマトにつきっきりという訳にもいかんし・・・」


ってことでトマトは俺の付属高校の中等部に入学することになった。


で、天罰博士は一週間もしないうちに、お茶柱博士が言ったように、またチョコマカロンを大幅に全面強化してお茶柱博士の家に殴り込んできた。


「やい、お茶柱〜・・・出てこい、この間は油断したが今日は負けんぞ」


「天罰か・・・懲りんやつだのう・・・近所迷惑だぞ天罰〜・・・」

「しつこい、帰れ帰れ、おまえに用はないわい」


お茶柱博士は、言うだけ言うとドアをおもいきり閉めた。


「待て待て・・・いきなり来た俺も悪かった・・・見捨てないでくれ」


「ふん、なんじゃ軟弱者めが・・・とっとと帰れ!!」


「バカめ、今回は違うんだぞ・・・この前みたいな負け恥をさらしに来たわけ

じゃないぞ」

「この間の小娘を出せ・・・もう負けんからな、ボコボコにしてやる」

「新しく改造したチョコ・マカロン・デビルの実力を見せてやる」


で、結局だけどチョコマカロンはまJAFが引き取に来る羽目になった。


詳細は、この間と同じでチャコマカロンはトマトにボコボコにされて隣町まで

ピューンって飛ばされて行った。

デジャヴーだ。


そんな騒動を通りがかりに見た人もいて、トマトの活躍は写メや動画に取られて

ネットやユーチューブにアップされた。


で、角田 L子さん絵本が発売されて、さほど売れはしなかったが、それでも

絵本を見た少年、少女がトマトを訪ねてきたりした、


トマトは一躍有名になった。

博士も立郎もそっとしてほかったが、周りの熱が冷めるまでしばらくかかった。


そしてトマト初登校の日。

立郎は学校へはバスト電車を乗り継いで登校していた。

だから、当然トマトを引率していくつもりでいた、兄としては・・・。


「トマト・・・俺から離れるなよ・・・手を繋ぐか?」


「大丈夫・・・ひとりで行けるから」


そう言うと、トマトはいきなりウンコ座りしたかと思うと両腕を後ろに回した。

そして両腕の肘から下がパカッと縦に割れた。


「キュイーン・・・シャコン、カシーン」


割れたところから噴射用のカタパルトが現れてそこからジェット噴射すると、


「いってきんま〜〜〜〜〜〜〜っす」


って、あっと言う間に見えなくなった。


バヒューーーーーン・・・・キーーーーーーン


「え〜・・・あいつ学校の場所知ってるのかよ」


って思ったらトマトがすごい憩いで帰ってきて、池面に降り立つと


「学校、どこだっけ?」


「だから、俺と一緒に行けばいいだろ?」

「そんなに急いで行かなくても学校は逃げて行かないよ」

「慌てるなんとかは貰いが少ないって言うぞ」


「ご飯減らさないでね」


「好きなだけ食えばいいだろ」


トマトには教えなきゃいけないことが山ほどある。

立郎は自分ほうを見て笑ってるトマトを見て思った・・・異星人が作った

おもちゃとも知らずに・・・。


おしまい。















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TOMATO. 猫野 尻尾 @amanotenshi

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