箱の中で誕生した白い箱! 繰り広げられる君への想い。

大創 淳

第三回 お題は「箱」


 ――例えばそれは、平日に乗る電車のよう。長方形の、いかにも箱という感じ。



 走る決められた時間と、決められた道程……


 しかしながら、その中にさえ、わずかな自由がある。通学の道程を走る電車の中、その中にだけ、僕は君との距離がグッと縮まる。僕らはお互いの顔を知らずにいる関係。少なからず、ほら、君の傍にいる彼氏は、僕の存在に気付いていない。僕にだって……


 そう、いるのだ。でも今は、距離を置いている、彼女のために。


 でも僕は信じる。彼女は再び僕の元へ帰ってくる。それは今年のXマスと、クリスマスキャロルの頃には。第六感が働く予感の中で。それに僕と彼女はサンタとトナカイ。


 そう。僕の名はサンタ。切っても切れない縁だから……


 それはさておき、今は君との時間。通学の道程を運ぶ電車という箱の中、繰り広げられる素顔の僕と、直の君の顔。少し横に僕はいる。ポニーテールで屈託ない笑顔の君。


 でもそれは、彼氏に見せている笑顔。決して僕ではない……


 そうなのだ。僕と君はそういう関係ではない。やはり敵対する関係だから。喩えるならば、ラパン三世と金型かながた警部の関係。僕には、君と戦う宿命にある。


 君の名は、卜部うらべそら。学園のトラブルを未然に防ぐエックスという組織に属している。だからこそ僕は、君とは敵になる。エックスという組織は、マリー姫が大富豪という権力のもとに作った組織。僕らの学園運動のための組織を破壊したから。


 割り込んできた、裏の組織。庶民の気持ちを知らない、貴族の軍団だから、僕は追撃の手を緩めるつもりはない。喩え君が、このまま僕に振り向かなくても。……そう、思い知らせるだけなのだ。僕にはまだ、この忍ばせている箱があるから。


 細やかなプレゼント。この間の時限爆弾とは違うけど……きっと気に入ると思うよ。


 君を振り向かせるため? いやいや、僕のもとへ、僕の彼女が帰ってくるまでの間の御遊びという名目のもと。もう少し、君との時間を楽しませてもらうためにだから……


 そして、また芸術棟の二階に仕掛ける、この白い箱。そっと、リボンを掛けてから。


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箱の中で誕生した白い箱! 繰り広げられる君への想い。 大創 淳 @jun-0824

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