第8話 やばい奴

やっと、問題が解決し忙しい日々も家出してしまった。帰ってほしくはないが少し寂しい。

日々の忙しさに比例して問題が解決したからか山田さんからの愚痴が減ってきた。

だけど、まだ会話は細々と続けている。

すこし、山田さんとの距離が離れてしまったようで複雑な気持ちだけどこれが本来あるべき距離なんだと自分に言い聞かせた。

学校ではというと僕は相変わらず山田さんを見ている。

当たり前じゃあないかやめるわけがないだろう‼

だけど最近山田さんと目が合う回数が増えた気がする。

目が合うと恥ずかしくて心臓に悪いのでできるだけやめてほしいのはここだけの秘密だ。


まあ、このように僕にとっては平和な日常が続いた。

そして、時が流れすっかり冬になった日の事

僕がいつも通り教室に入ると珍しいことに山田さんがまだ登校していなかった。

僕は珍しいなと思いながら自分の席に着き授業の準備を始める。

だんだんみんな登校してきて教室が少し騒がしくなってきた。

「お。市川おはよう」

竹内がそう話しかけてきた

「おはよう」

「山田さんが来てないの珍しいな」

「そうだよな」

「もしかして風邪でも引いたんじゃね」

竹内はからかうように言った。

確かにそうなんじゃねと思い僕はスマホを開き山田さんの裏垢を確認した。

そこにはやはり昨日と変わらず呟いている。

なにかあれば呟くだろうから風邪ではないのだろう。少し安心した

「おい。市川どうしたんだよ。急にスマホ見たりして。」

「べ、別になんでもないよ」

僕は少し焦りながらもそう答えた。

「ふ~んそうか」

竹内はそう言うと自分の席に戻って行った。




しばらくの間授業の準備も終わり暇だったのでスマホを見ていた。


すると廊下がだんだん騒がしくなってきた。


僕は何事かと思い廊下を眺めた。




すると教室の前の扉から山田さんが入ってきた。


やっぱり風邪ではなかったんだなとホッとした。


僕は山田さんを見ると山田さんと目が合った。


すると、山田さんはこちらに向けて早足で迫ってきた。


僕は目を逸らそうとしたが山田さんからの圧力というか目力が強すぎて逸らすことができなかった。


そうこうしている間にも山田さんは僕の席の前まで立ち止まった。


「お、おはようございます」


僕は流石に無視はできないので挨拶をした。


「・・・・」


山田さんは何も言わず僕をじっと見ている。


クラスの人たちは何事かと僕たちを囲むようにこちらを見ている。


なんか大事になってきていないか!!


いや、確かに山田さんが僕の目を逸らさずずっと立ち止まっているのはすごい大事なのだがこんなに見られるとものすごく緊張する。

山田さんは周りの目も気にせずこちらを見ている。

すると山田さんの口が開いた

「…見つけた」

「え?」

山田さんが何か言ったみたいだがよく聞き取れない

「見つけた見つけた見つけた見つけたわ!!」

「え?」

これははっきり聞こえた。

ま、まさかあの脅しがばれたのか!?

「あなただったのね!!」

山田さんが前に乗り出してきた

「いや、えっと、何のことでしょう…」

あああああ、完璧にばれてるじゃん!!

どんなことを言われるんだろう冷や汗が止まらない

「あなたが‘’あああ‘’さんだったのね!!」

「…は?」

思いもよらない単語に?マークが浮かんでくる。

クラスの皆も頭の上に?マークが浮かんでいる。

「いや、僕ではないですね」

そうだ少し焦ったがアカウントがばれるわけはない何かの間違いだ

「いいえ間違えではないわ!!」

そう言って机に何かを叩きつけた。

「えっと…これは何?」

「これはね開示請求したのよ!!」

恐ろしいことを言われた。

なにか悪いことをしてしてしまったのだろうか・・・

そういう不安も出てくるが開示請求をされたことに純粋な恐怖が湧いて出てきた。

「あんなに私の心を揺さぶってきたんだから当たり前だよね」

当たり前なわけがない。司法は何をしているのか。三権分立が僕の心の中で崩れた瞬間であった。

「もう、言い逃れしても無駄ですよ‼」

山田さんは紙を僕の前に持ってきて言ってくる。

今わかった山田さんはやばい奴だと。

竹内の見る目が合ったと。

僕は周りに助けを見るように見渡した。

竹内を見つけて助けを求めようと視線を合わせたら竹内がこちらにサムズアップをして

口パクでこう言った。

「な、阪神優勝しただろ!!」

…阪神関係ないやろぉぉぉぉぉぉお!!!



結局山田さんと付き合うことになった。

  



                          ―了―

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高嶺の花を助けたら僕だでではなく相手もやばい奴だった @dada02121610

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