或る雪の日に

アオイロノペン

第1話

雪まじりの空

雲は海に溶けている

それがとても不思議で

ボクは立ち止まるけど


みんな

雪も空も海も

まるで興味なさそうに

とおりすぎていくんだ

ねえどこに行くの

鳥たちさえ帰っていく

空へ


白い角砂糖のような建物へ

ボクは蟻のように入っていく

窓際の席に座って

手のひらの中の本をひらけば

呼吸が少しラクになって

コーヒーの香りを鍵に

物語のなかにログインする


窓は曇っている

ゆびさきでたわむれに

灰色の雪をふらせてみる

積雪はまだない


顔を上げて

まわりを見回して

まだ呼ばれない

そのことを確認して

まるで水に潜るように

深く息をついて

ペーシをめくった

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