箱庭ゲームが止められない理由

那由羅

頭の箱庭から出てきた言葉

 子供の頃からゲーム大好きだった私は、お金を貯めれば大体ゲームソフトにつぎ込んでしまう子だった。

 初めて購入したゲームが名作『ドラゴンクエスト3』だった事もあり、比較的取っつきやすいRPGは一番購入したと思っている。


 まあ、友達の家で遊んで興味を持ったり、ジャケ買いをするケースもあったので、アクションもシューティングも格闘もシミュレーションもそこそこに遊びはした。

 恋愛シミュレーションだけは背中がムズムズしてしまうので、家族のプレイを見るだけで留めたけど。

 ………えっと、法螺貝で女の子を口説くタイプの攻略対象がいる発掘ゲームは、恋愛シミュレーションには含みませんよね?


 何にせよ、殆どのゲームはクリアもしくはそれなりに遊べば止めてしまうのだが、この歳になっても止め時が分からないゲームというのは存在する。

 箱庭ゲームだ。


 ”箱庭ゲーム”で調べると、

『箱庭のような限定的な空間を舞台として,その環境を操作することで何らかの目的を達成するゲーム。都市を発展させるゲームや小売店の運営を行うゲームなど』

 となっていて、割とざっくりとしたジャンルらしい。


 この意味合いだと───


 余所で安く購入して自店で高く販売する雑貨屋さんゲーム。

 ダンジョン内の魔物間の食物連鎖を上手く利用して、襲来する勇者を返り討ちにするダンジョン・マネージメントゲーム。

 NPCの動線に合わせた施設を建築して、島を繁栄させるブロックメイクRPG。


 ───なんてものも、まあ大体箱庭ゲームの枠に収まるような気がする。


 世界観がしっかりしているお話を書ける物書きさんは、多分箱庭ゲームは好きになれるんじゃないかな、と勝手に思っている。

 だって、自分が思い描いた世界を自分で作り出せるのだから。


 時間が足りない、操作が苦手、ゲームの仕様が性に合わないなどの理由で敬遠する人も多いだろうから、遊ぶ遊ばないはさておいても、だ。


 ちなみに私の場合、3D酔いしやすいので立体的な箱庭ゲームはあまり得意ではないが、ドラゴンクエストビルダーズは何とかいける。

 ビルダーズはキャラクターも可愛いしね。モンスターや乗り物の造作も含め、鳥山明先生のデザインは洗練されていて素晴らしい。


「ビルダーズ買ってね!」と宣伝したら色んな所から怒られそうなので、ちょっとでも興味がわいたら、公式サイトのビルダーズギャラリーを見に行く事をオススメしておく。浪漫がいっぱい詰まってる(個人の感想です)。


 ───閑話休題それはそれとして


 物書きの頭には、たくさんの箱庭が詰まっている。

 いや、クリエイター全般に言える話だけど、まず自分と向き合わないと指が動かせない物書きは、割としっかりした箱庭を有してると思ってる。

 ファンタジー、SF、ホラー、ミステリー………頭は一つしかないのに、世界観バラバラな箱庭を持つ人もいるだろう。


 物書きは頭の中の箱庭の一つを取り出し、文章という物理的な形に変換していく。

 情報は多すぎても少なすぎても伝わりにくいから、取捨選択は結構大事。

 分かりやすい表現や、流行を追う事も大切なのだろう。

 時勢によっては、取り出した箱庭を頭の中へ戻す必要も出てくるかもしれない。


 ただ、この箱庭は捨てる必要はない。

 だって頭の中にあるものは、いつでも再利用が可能なのだから。

 ちゃんと箱庭の場所きもちさえ覚えておけば、それだけ十分。

 そういう点では、エコだよね。


 こうしている内に、頭の箱庭は日々成長し続けている。

 大地は広がって行くし、川は伸びていくし、人も動物も増えるし、文化は発展して行く。

 戦争なんかも起こるかもしれないし、主人公的な連中はイチャイチャしているかもしれない。

 日々こうやって生きているだけでも膨大な情報量が頭に入ってくるんだから、繋がってる箱庭だってそりゃ成長するよね。


 …つまり、箱庭ゲームが止められないのは、頭の箱庭の成長が止まらないから、かもしれない。


 ───なんか、あんまりまとまりのない文章になってしまった。

 でも、こういう時もたまにはあるのかなと。

 これもまた、頭の箱庭から出てきた言葉なのだから。


 きっと、死ぬまでこの箱庭は成長し続けるのだろう。

 私はそれを望んでいる。



 ~箱庭ゲームが止められない理由~ おわり

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