12話 日曜日の悪夢
日曜日。僕は堕落した生活をしてやろうと決めて、ご飯は朝昼晩全て宅配してもらうことにした。他の時間は全て趣味の時間へ充てることにした。
朝の8時に起床。これは休日にしては結構早めに起きたと思う。
「朝ご飯は……いいや、まだ配達やってくれてないからあとで決めよう」
僕はスマホをパソコンデスクの隅に置くと、ノートパソコンを起動させた。
メールのチェックをしてから動画サイトを開くと、そうだと思い出し、クローゼットの中にある段ボールから大きな液晶タブレットを出してノートパソコンと繋げた。
モニターにしてノートパソコンの小さな画面ではなく液晶タブレットの大画面でゲームをやる! そう思ってやってみると、思った以上に見やすくて感動さえ覚えたが、やっぱり目が疲れた。
途中、休憩で曲を流しながら今まで貯めに貯めた本を読むことにした。
と言っても、イラストのメイキング本が多く、僕もどうしてこういうものを買ってしまうのか不思議でならないが、なんとなく見ていると楽しいから読むという理由で見続けることにしたのだった。
ただ、どういうことなのかわからないが、僕の心のどこかでこれらのメイキングの技を吸収しなくてはと思うところがあって、それが不思議でならなかった。イラストとか、絵に関しては全て諦めていたはずなのだが……。
まだ諦めきれていなかったのだろうか。でも、いや、待てよ。
そもそも何を諦めた? いつ、絵を楽しんでいた?
僕は深く考えようとすると、頭痛がして、それ以上考えることをやめた。
何せ今日は堕落した一日を過ごすのだから。頭痛がするようなことを考えるなんて、しなくてもいいはずだ。
僕は少し昼寝をしようと思った。
もう、不貞寝だ。それしかない。
僕はぽてとを抱っこして、ベッドに横になり、眠りに就いた。
……悪夢だ。これは、悪夢。
夢に出てきた子は、僕とよく似た女の子だった。
その子のことは特に理由はなかったが、嫌いだと感じた。
きっと精神科の先生が姉がどうとか言うから、そんな夢を見たのかもしれない。
でも、おかしいんだ。その子を見ているのは僕で、その女の子もまた僕だった。
えらくお姫様みたいなワンピースを着て仕事をしている。僕と同じで、デザイナー。自信満々な様子で仕事に取り組む、小さな女の子。
でも、そんな自信満々な様子からは想像できないくらい、その子の心の中は不安でいっぱい。まるで僕のようだ。でも、なんで。
不思議なんだ。
どうしてぽてとをその女の子が持っている?
……気に入らない。同族嫌悪と、ぽてとを取られたこと。
それだけで嫌いになる理由は十分だ。
本当に、好きになれそうにない。
その無理矢理な笑顔、引っ剥がして泣かせてしまいたい。
だって、それだけ、必死なのが見ていてムカつくんだ。
自分だけ辛い振りしやがって。だから、僕は。
……? 今、僕は何を考えていたんだろう。
そう思っていると、次第に視界が白くまばゆい光に呑み込まれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます