ユニットバスは箱の中

星之瞳

第1話

「いらっしゃいませ、リフォームのご相談でしょうか?」

工務店の玄関を入ると明るい声で話しかけられた。

「ええ、風呂場をリフォームしたくて」

「では、こちらにおかけください。ご説明いたしますね」

俺は勧められた席に座った。別の人がお茶を持ってきた。

「今の家のバスルームを解体して、新しくしたいということでよろしいでしょうか?」

「はい、実家に帰ってきたんですが、バスルームがタイル張りで古くて使いにくいんです」

「そうなりますと、既存のバスルームを解体して、ユニットバスを設置するのが一般的ですね」

「ユニットバス?」

「ユニットバスは箱の中に湯舟、シャワーなどを取り付けたものです。規格も決まっていますので、今あるバスルームに入る一番大きいものを設置することになります。隙間ができる場合は断熱材などで隙間を埋めることになります。まれに設置できない場合がありますが、その時はオーダーになりますのでかなりお値段も上がりますが。どちらにしても見積もりは無料なので、見積もりをされてみられてはいかかでしょう。見積もりに納得されたらショールームで現物を見て設備の内容を決め、日程を組むことになります」

「そうですね、見積もりに来てもらいましょうか」

「それではこの書類にご記入をお願い致します」俺は、書類に住所とかを書き込んだ。

「見積もり希望日は候補を3つほど挙げておいてください」俺は書いた書類を係に渡した。

「それでは担当者と相談の上ご連絡しますね。本日はご来店ありがとうございました」係の人はそう言うと深々と頭を下げた。俺は立ち上がり店を出た。


数日後、見積もりの日程が決まった。

見積もりの日。担当者は高末と名乗った。今のバスルームを測ったりしていた高末は「これだけ広さがあればユニットバスが入りますね」

「工期はどれくらいかかりますか?」

「そうですね、解体に2日、コンクリートを敷いてそれを乾かすのに2日。ユニットバスを組み立てるのに1日。まあ、5日から長くても1週間でしょう」

「ユニットバスって一日で組み立てられるんですか?」

「ええ、規格通りに箱を組み立てて中に必要なものを設置するだけですから組み立て自体は1日でできますよ、その後、周りをきれいにしたりする方が時間がかかります。それでは日程を組んで見積書を出しますね」そういって高末は帰って行った。


その後、メーカーのショールームに行って設備の内容を決めた。ショールームにはいくつものユニットバスが並んでいたのだが、本当に箱に入っているような作りにびっくりした。

見積もりが出され、納得できたので契約した。


工事の間、俺は有給を取って仕事を休んだ。誰もいない家に人を入れる気にはなれなかったから。工事は順調に進み、ユニットバスを組み立てる段階に来た。

俺はその工事を見せてもらった。箱の中というのがなんとも信じられなかったから。だが、作業員はてきぱきと組み立て箱の中に必要なものを設置した。本当に1日でユニットバスの設置は終わった。

終わったころ高末がやってきた。

「今日お風呂使えますよ。明日、周りの隙間を埋める作業をします、そうすれば完成です」

その日、俺は出来上がったユニットバスを初めて使った。まあ前の風呂場よりも狭くなった感じはしたが、足が伸ばせては入れるので気持ちはよかった。

シャワーもポールに固定されているので高さを合わせれば両手が使え浴びたいときにいつでも浴びられる。汗かきの俺には満足できるものだった。


翌日最後の工事が行われ完成。引き渡しとなった。

後は後日来る請求書の金額を振り込めばいい。


思い切ってリフォームしてよかった。







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ユニットバスは箱の中 星之瞳 @tan1kuchan

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