第10話 如月唯は寝落ちしない……?

「……これで、よし」

入学してから、お母さんにバレないように入れたメールアプリを一瞬開いて、タブを閉じてからもう一度開く。

こうすれば、親には通知がいかない。多分。

クラスメールからメールメンバー画面を開く。

望月くんみたいな名前……?これ……

「お餅……餅月くんってことかな」

餅って名前のアカウントをタップすると、自己紹介文が出てくる。

「望月です。よろしくお願いします。」

……ネットリテラシー?大丈夫かな……

餅月くんをお友達に設定して、メール画面を開く。

……

…………

………………どうしよう、

最初の一言ってなにがいいかな!?

今まであんまりメールしたことないから……

ん〜……そ、そうだ。まずは望月くんの予定を聞いて……

『今、お話いいかな?』

こ、これでどうだ!ーーなんか、寿命縮んだ感じする……

『うん。いいよ』

……返信きたっ!どうしよう緊張する!一対一でメールしたの初めてだし……いや、ここはいつも通りの会話をして……!

『ほんと!ごめんね時間とっちゃって〜』

『ううん、大丈夫だよ。』

返信はやい!すごいね望月くん!(?)

今考えれば、少し……いやだいぶテンションがあがっていたんだと思う。とても楽しくて、すごい時間だった。

ーーでも、そんなに楽しい時間は続かなくて。

「唯」

ぴた、とメールを打つ指が止まる。どうしよう、怒られる。怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い逃げたい怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

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汗が全身から絞り出されたみたいに吹き出る。

「まだ起きているの、早く寝なさい」

「……」

「唯、返事をしなさい」

声、が出ない……?

駄目、出さないと、出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと出さないと!

「う、……ん。今……ねるよ?」

「おやすみ、唯」

足音が部屋から遠ざかる。

身体から力が抜ける……

今日は、もう、やめよう。

震える指で何度も打ち直しながら、メッセージを入力する。

『わかった!ありがとう望月くん!夜にごめんね!

 おやすみ!(:3[▓▓]』

そう、送って、そのまま、画面をとじた。

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何故かやたらと距離が近い如月さん 脈絡ブレイカー @Mastermm

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