箱、箱、箱

瘴気領域@漫画化してます

箱、箱、箱

 箱、箱、箱である。

 それは箱であった。

 空から箱が降ってきたのだ。

 それは箱としか形容できないものだった。


 大きさは様々だ。

 一片が数センチのものから、数キロメートルに及ぶものもあった。

 そんな正方形の箱が空から無数に舞い降りたのだ。


 巨大な箱の直撃を受けた建物は容赦なく破壊された。

 東京都庁は砕け散り、スカイツリーはポッキリ折れた。東京タワーはなぜか箱を貫通していた。


 そんなことが起きたから、日本はたまったものじゃない。

 いや、日本だけではない。

 エッフェル塔もビッグジョンもタージマハルもエンパイアステートビルも箱に潰され、倒壊した。とにかく箱は大変な事態を引き起こしていたのだ。


 しかし、人類はしぶとい。

 虚空から発生し落下してくる箱を資源として捉えるものが表れたのだ。

 何しろきっちり正六面体の箱である。

 しかもものすごく丈夫だ。

 案外使い出がよい。


 幼稚園児は小さな箱を積み木代わりにして遊び、建築業者は中くらいの箱を建材として使用した。数キロメートル単位の箱については誰もが諦めた。数百メートル位くらいなら、ぎりぎりダムの素材などにできたのだが。


 人類の生活領域はこうして正六面体に支配された。

 もちろん、正六面体を組み合わせることによって直方体や錐形なども作られたが、よくよく見ればそれは正六面体で出来ているのだ。右を見ても左を見ても、正六面体が埋め尽くしているのだ。


 箱、箱、箱。とくにかく箱だ。

 箱根駅伝は箱を投げつけ合う謎のスポーツへと変化していた。普通に走っていると空から箱が降ってきて危ないからだ。

 函館は箱館に解明した。なんかその方が流行りに乗っている気がしたからという市長の決断だった。


 なお、ボクシングの語源は古代ギリシアのPUXOS(箱)にあるとされている。 そして、さらに元をたどれば、PUXOSはPUGME(握りしめた拳)に由来していると言われている。つまり、ボクシングもまた箱なのだが、これはとくに関係のない脱線だ。


 脱線のついでだが、箱という字は竹かんむりに相と書く。相は木と目に分解できる。これらを並べると竹木目となる。竹の木目とは何なのか。ちょっとよくわからない。


 ええっと、箱の話に戻ろう。

 空から箱が降るようになって、人類はわりと困ったんだけど、乗り越えて幸せになりました。現在、多くの建物が四角いのはこのためです。あなたも空を見てみましょう。あなただけの箱が落ちてくるかもしれませんよ?


 あ、意味がわからないって? 大丈夫、私もわかっていません。「箱」なんてお題を出すカクヨム運営が悪いんです。こんなもん思いつく馬鹿野郎!

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