箱のわたし
石衣くもん
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変な話をしてもいいでしょうか。
変な話というか、わたしが変だと思いながら止められない妄想の話なのですけど。
わたしは内側が白い箱の中にいます。
あなたは外側がギンガムチェックで、さらに色んな動物が描かれた箱の中にいるように、わたしには見えています。
あの子は外側が万華鏡みたくキラキラ、くるくる変わり続ける箱の中にいます。
わたしからは、あなたたちの箱の中身は見えません。
また、あなたたちからわたしの箱の外側がどう見えているのか、わたしにはわかりません。
これはクイズではございませんし、頓知でもございません。
わたしはもしかしたら、外側も白い箱の中にいるのかもしれないし、あなたたちがいる箱の内側も真っ白なのかもしれません。
わたしは、万華鏡みたいな箱のあの子に憧れて、あの子みたいになれるよう頑張っていますが、わたしの箱が万華鏡になっているかはわかりません。
内側はどんなに努力しても白いままです。
わたしは、何故か箱の内側が白いことが恥ずかしくて、誰にも見せないようにしています。
でも、他の人の内側がどうなっているのかは酷く気になって、こっそり覗こうとしてしまうのです。
相手もなかなか内側を見られないようにしているのか、そもそも人には見えないようになっているのか、今まで一度も他人の箱の中身を見たことはありません。
それなのに、内側が白いのは恥ずかしく感じるのです。
わたし以外の人は、この箱は見えているのでしょうか。
別に、アンケートではございませんが。
やっても意味がないことなら、もう、やめたいのです。
意味があるなら、成果を見せてほしいのです。
見えている以上、わたしとあの子の箱は違うものだと思うだけで、比べてしまっているのです。知らない間に優劣がついて、わたしを苛むのです。
こんな箱、捨ててしまいたいと本気で思っているのに、わたしはこの箱の外に出ることがいつまで経っても叶いません。
これは、ワガママなのでしょうか。
箱のわたし 石衣くもん @sekikumon
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