RITZ PARTY

作家:岩永桂

盛者必衰の理をあらわす

RITZ PARTY


金欠になって、腰痛持ちになって、どれだけ現役から遠のいたか

知ったこっちゃねえが、俺たちが遊戯場にしていた近所の賭場には

伝説の「ぶっち箱」なる勝ち組御用達サービスがあった。

今のレートはいくつだべ? 1枚5円とかそこら辺?

昔は等価、多分1枚20円。伝説の5.5号機は

「勝っても10万、負けても10万」がキャッチコピーだった。

俺はハードボイルド2という筐体に入れ込んでいて、

謎の天井演出が意味不明に激熱だったので

台を育てるいわゆる投資信託の走り、みたいなことをしていた。

天井というEXTRA STAGEに到達するまでは

やや投資に圧が掛かるが、天井到達後はコインを失わずに

BONUS GAMEを引くことが出来る。

今日はハードボイルドの説明じゃなくて「ぶっち箱」の説明なので

詳細は今度にするが、俺はその筐体で最も熱いAR1000という

SP BONUSに当選して、その時点で6000枚獲得が濃厚になった。

獲得枚数5000を超えそうな客には「ぶっち箱」

20円×6000枚だから何円の稼ぎだか解るだろ?

「勝っても10万、負けても10万」の口上は真実さ。

推定6000枚ってだけで、その日は機嫌よく筐体の根っこから

1枚残らずメダルを吐かせてやった。

ARを経由したBONUSはHYPER BIGになるし

BIG終了後に又、AR当選の抽選がある。

普通のARが150でAR1000はかなり低い抽選確率の筈だ。

そんなもんをバカスカ引かれたら、店中のメダルが「ぶっち箱」に。

当時イチバン出てた優良店だから声を大にして宣伝してやりたいけど

平成に残る伝説だ、今は平静にしといてやろう。

箱って漢字を見た瞬間、バレンタインの上品なラッピングを思い出したけど

秒で「ぶっち箱」一色になった脳内。あれのインパクトたあ、桁違いよお。

二度とAR1000なんて引けないけど、過去に体験出来て幸福だった。

生きてりゃ色んなお化けに出逢えるもんだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

RITZ PARTY 作家:岩永桂 @iek2145

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ