201号室
俺たちは全員の有り金を集めた200万円を持って103号室のインターホンを押した。すぐにドアが開き、チェーン越しに若い男がでてきた。
「潮木さんから……」
男は指をぬっとだし、唇に当てる。名前は出すなということか。金を受け取り、その場で数えはじめる。50万円だけ取って、残りはこちらによこした。誰も相場がわからないから素直に受け取った。男はにやりと笑い、ドアは閉められた。
数日後、201号室は夜逃げのように家財ごといなくなり、清掃が入ってあっという間に空室になった。
数週間後、俺の部屋にDVDが届いた。差出人は潮木とだけ書いてある。DVDプレーヤーなんて持っていないから、長谷川にパソコンを借りてみんなで鑑賞会をすることにした。
DVDの内容は、川内が死ぬまでの一部始終を映したものだった。数日かけて死んだほうがましと思うようなことをされ、最終的にでっかい発煙筒のようなものに括り付けられて打ち上げられ、爆発していた。バラエティ番組のように首から長いカメラをかけて顔を写すようになっていて、川内がバラバラになる様子まできれいに撮れていた。
「これで前に進めるかな」
長谷川が溜息をつく。普段なら目をそむけたくなるような凄惨な映像だったが、見終わったみんなの表情はどこか晴れ晴れとしていた。
「こちら人気の物件となっておりまして、検討中の方も数名いらっしゃいますので早い者勝ちとなっております」
外に出ると、空は晴れていた。内見案内をする朗々としたスタッフの声が聞こえる。この人気物件はじきに満室になりそうだ。
絶対復讐アパートメント 北路 さうす @compost
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