姉と一緒の登校

ピピピッピピピッ

バン!

いつも通りの朝がきた、嫌違う、アラームの音と一緒に姉の声がした。

「あんたそんな強く叩いたら壊れちゃうわよ。物は大切にしなさいよね」

「わーてる、わーてる」

姉はいつもこうだ。俺が何かするとすぐ小言を言ってくる。まるでお袋みたいだ。

朝飯を食おうと下に降りたら、親父がしけた顔して飯食ってて、お袋は鬱病にでもなったのかってくらい疲れた顔をして朝飯を作っていた。

姉が親父やお袋の前で、「おはよう。私だよー」と話しかけていたが気づく素ぶりも無かったので姉は僕にしか見えてないらしい。

俺が制服に着替えようとしたら姉がニヤけた顔でこちらを見ているのである。

姉は学校の準備をしている時も忘れ物ないか、とかシャー芯あるか、とか小言をほざいていた。

姉は俺の事を小学1年生だとでも思っているのだろうか。

俺はいつも登校する時は幼稚園からの幼馴染、くるみと行っているのだが、いかんせん、高井くるみは女子なので姉からいじられること確定なのである。

「おはよう♩」くるみが元気に挨拶してきた。

「おはよー」俺は姉の方を確認しながら言った。

案の定、姉はニヤニヤした顔でこちらを見てきた。

「あんた姉が死んだのにそんな悲しそうじゃないわね?」

「まぁな、クソあねk」いや、まずい横に姉が居るし怪訝な顔をしている。

「ゲフンゲフン、しっかりとお別れしたからな」

「あんたの引きずらない性格羨ましいわ、じゃあ行こう」

危なかったー姉が睨みつけてくるがギリギリセーフだ。

だがこういうことが死ぬまで続くのかぁ。

「はぁ、」俺は自然とため息をついてしまった。

すると、くるみが「何か悩み事でもあるの?あんた友達が私くらいしかいないんだから相談してよね」

と言ってきた。

なんで俺はこう、面倒くさい女に好かれるのだろうか。

悩みはあるがこいつに言っても、あんた馬鹿なんじゃ無いのとか言われるだけだ。

「いや、悩みなんてねぇよ。ちょっと疲れただけだ」

「何が、「疲れただけ」よ!あんた帰宅部だし授業中寝てるだけでしょ!」

ギクゥ!これはまずい、姉の前でそんなハッキリと言ったら...

咄嗟に姉の方を見ると、ふうぅん、としてる顔をしていた。視線を戻したら、「これは後でシメないとな」と聞こえた気がするがきっと気のせいだろう。

「何あんた、さっきから壁をチラチラ見てんのよ」

あっヤベ、これはどう誤魔化すか。何か何か何か無いか?

「最近アジサイが綺麗だなぁって思ったんだよ」

これは我ながら良い言い訳ではないか?今は6月だしアジサイの時期だ。姉が轢かれたのもトラックがブレーキで止まれきれず突っ込んだからだしな。

「ふーん、あんたそんなロマンチストだったっけ?まぁいーや」

「あっ!綾華ちゃん!おはよー」

くるみは手を振り友達の方に駆け寄った。

ふぅ危なかった。俺が胸を撫で下ろしていると、姉が。

「あれくるみちゃん?ずいぶん大人っぽくなったわね」

と言ってきた。

「そうか?」と、返すと俺は下駄箱に足を進めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊の姉が鬱陶しい WAKA @aky4946

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ