幽霊の姉が鬱陶しい

WAKA

姉がいない

俺がある日、家に帰った時まだ17時頃なのに親父がいた。俺は不思議に思いながらも両親が悲しげな顔をしている事に気づいた。

「なんで親父がこの時間に?なんか悲しい事でもあったの?」

親父はお袋と何かボソボソ話してから言った。

「今日はたまたま仕事が早く終わってな。それで母さんと料理で玉ねぎを切っていたら涙が出てきてしまったんだ」

俺はそんな事あるかと思ったが、その時はスルーしていた。ただ俺は夜になって違和感を感じた。

姉が帰って来ないのだ。いつも20時前には帰ってくるのにもう21時だ。親も流石に怒ると思ったがそんな様子もない。

「なぁ姉貴は?今日遅くない?」

「咲は、今日遅くなるらしいわよ」

お袋は親父に目配せしながら言った。

やっぱり何かおかしい。俺は違和感を抱えたまま自室に戻った。それから授業の復習をして寝た。

寝てる途中に家のドアが開く音が聞こえ、姉が帰ってきたのかと安心し、眠りについた。

次の日の朝、俺が学校の準備をしているとお袋が泣きそうな顔をして入ってきた。

何事かと思っていたら。

「守?落ち着いて聞いて欲しいんだけど」

「ああ、どうした?」

「咲が亡くなったわ」

「は?」

あまりにも唐突すぎて俺は脳で処理しきれなかった。姉貴が死んだ?なぜ?いつ?

「今日は学校休みにするから心を落ち着けて頂戴」

俺はそれからの事はあまり覚えてない。

気づいたら葬式が終わって、姉のいた席が余っている食卓でご飯を食べていた。亡くなると言った言葉はよく出来たものだ。本当に生活の中から無くなるんだからな。死因は友達と話していたらトラックが突っ込んできて潰されたそうだ。幸い友達は姉に突き飛ばされて助かったみたいだが、目の前で友達が死ぬ所を見るのはさぞかし辛かったろう。俺はベッドの上でそう考えていたら。

「ねぇねぇ聞こえてるよね?」

どこからか聞いたことのある声が聞こえてきた。

「ねぇってば!聞こえてるでしょ!無視しないで!」

え?はっ?えっ?

声のする方向を見ると姉が立っていたのだ。

「えっなんで姉貴がいるの?死んだはずじゃ、」

「なんでいると思う?」

姉はニコニコしながら言ってきた。

「も、もしかして幽霊?」

俺はビクビクしながらも聞くと。

「せーいかーい。流石我が弟だな、察しが良いようで何より」

姉は当たり前の様に言ったが信じられる訳がない。

「ドッキリじゃないよな?」

「ドッキリな訳ないでしょ!あんな葬式までするドッキリだったら不謹慎すぎよ」

「それはまぁ、確かにそうだな。それじゃあ幽霊だとしてなんで俺は見えてんの?俺霊感とか無いんだけど」

「それはまぁ兄弟の仲って言うか繋がりと言うか、私だって分からないわよ」

まぁそれはわからないか。

「じゃあどうやって幽霊になったんだ?現実世界にしがみついたのか?」

「いや、なんか天に召されて神とお話ししたら、可哀想だから何か願い事叶えたげるって言われて弟の守護霊になりたいですって言ったら、良いよって言われて今に至るってわけよ」

確かに姉はコミュ力最強JKだったがここまでとは、

ん?あれそう言えば、

「俺の守護霊ってどういうことだ?」

「そのままの意味よ私があなたの守護霊になったの」

「あああ、そうすか」

俺はあまりに強烈な現実に諦めて寝た。

俺はこれからどうなるんだ?


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