ステちゃんと一緒!💕︎(*ΦωΦ)

米太郎

第1話 私の飼い主

 私は猫です。

 名前はあるけど。教えてあげません。


 飼い主は、女子高生。

 私に名前をくれない人です。


 とてもかわいらしい子なんです。

 女子高生というよりも、JKというのが合っているかもしれません。

 ちょっとヤンチャそうな女の子。


 ヤンチャな子でも、流石に自分の猫に名前くらい付けるとお思いでしょうが、必ずしもそうでは……。



「ステゴサウルスー。こっちおいでー!」


 ……。



「あれ? ステちゃんー。こっちおいでー!」



 名前の説明が途中だったのですけれども。

 JKって、空気を読まないんですよね。


 では、気を取り直して。


 ‌飼い主であるJKは、私に名前をつけてくれな……。



「ほらほらー、おいでー。ステちゃーん」



 ……こほん。



 人間の世界には、あだ名というものが存在します。

 私には、あだ名はあるかもしれないのですが、名前というものはありません。


「ステゴサウルスー。なんで拗ねてるのよ。撫でてあげるからこっちおいでーって」



 ……うんとですね。

 もう一度言いますね。

 私には、名前はありません。


 名前というものがあるとすれば、ペットにとって戸籍と同等のものである『血統書』というものに書いてあることでしょう。

 それが私にあるとした場合、そこに記載されている名前は、決して『ステゴサウルス』ではありません。


 なので、あの子が読んでいるただのあだ名です。



「ほらほらー。ステゴサウルス。ちゃんとフルネームで呼んでるんだから、ちゃんとこっち来てよー」


 長い棒に鈴が付いたオモチャを揺らす飼い主。

 鈴がリンリンとなって、どうにも楽しそうに思えてしまう。


 これは、ずるい……。


 あぁ、身体が勝手に……。



「にゃーーー!」


「おー、よしよし。ステちゃんはやっぱり素直だね」




「にゃにゃにゃ!(これは、遊ぶしかないにゃ!)」


「ふふふ、ステちゃん元気ですねー! ‌ほらほらー!」




 ――トゥルルルー。


「あ、電話だ。ちょっと待っててね、ステちゃん」



 飼い主に、電話が掛かってきたようで、遊ぶのを一時中断した。


 ‌立ち上がって、電話をする飼い主。



 ……ふう。

 我を見失うところでした。


 私の飼い主は、良い人だって思いますけれども。


 遠目で見ても、顔も、スタイルも良いですし。

 自慢の飼い主です。


 ただ、難があるとすれば。

 センスは良くないのです。


 それが、私の飼い主です。

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