十一月十一日


 電話で勤労の義務を説くのは卑怯ではないでしょうか。あまりに卑怯すぎるものだから、驚いてまた着拒してしまいました。それは禁止カードです。二度と使わないでください。

 いいですか? あなたがなんと言おうと、私は実家を出ないぞ! 仕事もしない! 働きたくない!

 お迎えなんて結構です。私はこれから自室で篭城してやる。あなたが来る頃には、秀吉もびっくりな一夜城が築かれていることでしょう。


 ところで、今こうしてあなたへの抗議文を認めている最中にずっと鳴っているインターホンについてですが、まさかあなたの仕業ではないですよね? 近所のクソガキのピンポンダッシュ連打版ですよね、そうに決まってます。

 だってあなたは実家の鍵を持っているはずなのです。もしこれがあなたの仕業だとすると、単純に私を怖がらせるための行為に相違ない。そんな性格の悪いことがありますか。あなたの場合はありそうなのが恐ろしい。


 思い出してください。あなたが近所にピンポンダッシュして廻るようなクソガキがいないか確かめてこいと言ったから、私は夕方にも何回か内見とは別に調査に行ってあげました。時間ごとの周辺の雰囲気を知りたいという心意気は結構ですが、それを私に強制しといてこの扱いはあんまりです。あなたに嫁の貰い手ができない理由はそうい――

  ――

  ―――





(以下、解読不能)

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内見を弟に行かせるな 葎屋敷 @Muguraya

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