第3話 1stステージ にんぎょうすくい

人形掬いと聞いた私は少し安堵した

子供の頃にやった覚えがある、釣り糸を垂らして人形を釣るゲームだったはず。

さほど難しいことではないと


しかし、


「共通ルールとしてまず、

"暴力行為やゲームの進行に支障を来す行為をした者は失格"とさせていただきます。

 それでは皆さん、天井をご覧ください」


私たちは一斉に会議室の天井を見上げると、天井が開いていく

変わりにロープが10本ほど降りてきている。




「1stステージは

 ロープを上り、その先の天井に手の甲のスタンプを当てて認証させること

 先着は25名まで、制限時間は30分、開始!」


会場は一斉にザワ付き始める

「ロープの数が少ないぞ!」

「ちょっと!スカートで上れるわけないじゃない!」

「こんなの無理よ!」

「落ちたらどうするのよ!」


「既に上り始めている人もいます。文句を言う暇はありませんよ?」

様々な不平、不満の声があがるがその一言で静かになり

覚悟を決めて上り始める者もいれば、上れない者もいるようだ。


にんぎょうすくい、その人形とは私たちの事なのか。

このイベントは思った以上に過酷なのかもしれない。


「トウコ、登れそう?」

「分からないけど。やってみるつもり。ダメそうなら途中で降りてくるかも…」

「分かったわ、

 でも念のため私が先に上ってみるわ。トウコはその後に上るか決めて。」

「わ、わかった。」


私は誰も掴んでない一本のロープを掴み、2番目にトウコが登れるように順番待ちさせてから上り始めた。

私もトウコもスカートでこなくてよかった。



ロープを上ってこの部屋を抜け、そこから1メートルほどで天井に辿り着いた。

私は左手の甲を天井に当てたところ、電子音がしたので降りることに

地上には心配そうな顔したトウコが待っていた。


「ちょっと高いけどなんとかなるわ。

 上った先におかしなものもない、天井に手の甲を当てるだけよ。」

「わ、わかった。じゃあ上ってみるね。」

「ロープを下から引っ張って安定させるわ。多分この方が上りやすいかもしれない。

 後、万が一落ちても私がなんとか受け止めるから安心して」


そういうとゆっくりではあるものの全身を使ってトウコは上り始めた。

ふと周りを見渡すと、すべてのロープに誰かしらが上っている。

もしかしたら、トウコは間に合わないかもしれない、先にトウコを上らせるべきだったかも。

それに、よく考えてみるとそれなりの高さがあるので私では受け止めきれないかもしれない。


後悔が私を包み込む。

とりあえず今できることに集中しよう。ロープを安定させて

万が一の時が起こってしまったら、なんとしてもトウコを守るしかない。

そしてトウコに謝ろう。危険なことをさせてごめんと。


そう考えているうちに、トウコは天井に辿りついてスタンプを認証させていた。

そしてゆっくりと降りてくる。


「ただいま!認証できたよ!」

「おかえり。それとごめんトウコ、危険なことをさせてしまったわ。

 本来なら止めるべきだったかもしれない。」

「でも。テルコのおかげでクリアできたし!先に上ってくれたから勇気が出た、ありがとう。

トウコは微笑みながらそう返してくれた。





「そこまで!25人に達したので、認証できなかった者を脱落とする!

 脱落者は会議室を出て左手に向かい、突き当りに出口があるのでそこから帰宅してもらいます。

 認証できた者は私の所に集まってスタンプが押された手の甲を出してください。」


私たちはスーツの男の元に集まって手の甲を出すと、

ポケットから取り出した黒い機械を一人ずつ手の甲に当て始める。


そうこうしてるうちに、脱落者の退室は終えたようだ。

「25名確認できましたのでここに残った者を2ndステージに案内します。着いてきてください。」

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激闘!地下アイドル道!! 栄川浩一 @AaBb

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