共存

@me262

第1話

 ある日突然、巨大な円盤が地球に襲来した。世界中を移動する円盤に対し各国は攻撃を加えたが、全く効果はなかった。パニックに陥る国連本部会議場の大型ディスプレイに三つ目のカエルの様な生き物が現れた。

『攻撃は止めなさい。我々は内見をしているだけです』

「内見?何の事だ?」

 各国の代表が質問する。

『私は銀河不動産で、この星に入居するお客様を案内しています。こちらがお客様です』

 三つ目ガエルの背後にいる四つ目のカニがハサミを振る。

「入居?地球に住むのか?ここは我々の星だぞ!」

『お言葉ですが、そちらは長期間、家賃を滞納しています。早急に退去してください。既に銀河裁判所から退去命令は発行されているので、拒否するなら銀河警察に逮捕されます。銀河刑務所行きですよ?』

「家賃滞納?退去?デタラメ言うな!そんなの応じられる訳がない!」

『強制退去が嫌ならば、ちゃんと家賃を払ってください。銀河共通通貨で#$Å&*◆@です。こんな大金持ってますか?』

「何を言ってるかわからん!払わないぞ!」

『では強制退去です。抵抗すれば銀河警察も反撃します。全滅しますよ?』

「全部嘘だ!お前達は侵略者だ!」

 話し合いが平行線になる中で、四つ目のカニがカエルに声をかけた。

 ≪世代交代が進んで借り主達は死に絶えてしまったようだ。引き継ぎがうまく伝わらなかったんだろう。元々、我々は海底に住むから生存圏は衝突しない。彼らと一緒に住んでも構わんよ。但し、海洋汚染を修復して欲しい。我々も協力するし、労働には対価を出す。勿論、銀河共通通貨で≫

 カエルが代表達に言う。

『聞きましたか?こんな好条件見たことない。どうします?』

「……抵抗が無駄なのは承知している。仕方ない。条件を飲もう」

『契約書を用意します。後程サインを』

 代表達はため息を吐く。

「異星人と共存か……」

 カエルは顔をしかめた。

『共存?違いますよ。同居して借り主様の為に働く。あなた方は住み込みです』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

共存 @me262

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ