第112話 白昼夢
Side:シナグル・シングルキー
強制依頼が来た。
街の一角に黒い霧ができたのだ。
暗闇のダークの仕業だな。
黒い魔力結晶に変える魔道具はたくさん作ってある。
他の冒険者にも渡した。
俺はマギナと出動した。
ローラー作戦で黒い霧を排除する。
何か黒い物がと思ったら、黒い投げナイフが俺に当たってポトリと落ちた。
他の冒険者は食らっている。
マギナは杖で落としたようだ。
「目は見えなくても魔力を使った感知からは逃げられない。そこ」
マギナがストーンブレットを放つ。
「ぎやっ」
悲鳴が聞こえた。
当たったらしい。
魔力ソナー優秀だな。
攻撃はマギナに任せて俺は冒険者達の治療はする。
治療が終わる頃には粗方片付いたみたいだ。
「なぁマギナ。さっきナイフが俺に刺さらなかったけど」
「条件反射で魔力を展開したのね。レベルが高いからこそ可能な技だわ。もちろん私も訓練して同じ事ができるようになっているけど」
危ないとおもった時に体の筋肉を硬直させるような物か。
それの魔力版だな。
俺の魔力は物凄く高いから、ちょっと力を込めるとそうなるのかもな。
魔力を無意識ではなく意識して動かすのは大変そうだけど。
黒い霧を排除して気絶している襲撃者を改宗させた。
どうせ邪神教団の手の者に決まっている。
「まだ何人もいるけど建物の陰で魔法が当たらない」
「俺とマギナで先行して、教団の奴らを排除しよう。黒い霧は冒険者に任せるか」
「そうね」
子供がひとりよろよろと黒い霧から現れた。
「大丈夫か」
そばに寄ったら爆発した。
俺は何ともないな。
無意識バリヤーが守ったらしい。
子供はもう死にそうだ。
「死なせない」
治癒の魔道具を使う。
子供は服以外、元通りになった。
「教団の敵」
はいはい、改宗と。
「うわーん、お母さん」
子供だから洗脳が解ければこんなものか。
それにしても人間爆弾とはえげつない。
しかも子供か。
こうなったら、こっちも手段は選ばない。
『daydream』この単語で核石を作る。
白昼夢だ。
夢を見せて人間爆弾になっている奴を虜にする。
そして改宗だな。
「ラーララ♪ララー♪ラーララーラー♪ラーララ♪ララーラ♪ラ♪ララー♪ラーラー♪。ほらできた。枕に取りつけてと完成」
野営用に持っていた枕のひとつに核石と溜石を取り付けて導線で結ぶ。
また出て来たな。
今度は女の子だ。
白昼夢発動。
良い夢見ろよ。
「何やったの?」
「起きたまま夢を見せている」
「幻覚魔法だと高等技術ね。精神魔法系は難しいの」
「まあ魔道具だからな。改宗の魔道具を使って、ほら起きろ」
「あれっ、お母さんと朝食は」
「悪いな。俺が見せた夢だ」
「ぐすん。あの夢に戻りたい」
泣かれると罪深いことをした気になる。
「白昼夢の魔道具をあとで作るから持っていけ。現実ではないが、逃避したいときもあるだろう」
魔道具は酒や薬に頼るより健全なのかな。
使っていれば核石が壊れるだろう。
修理に持って来たら、核石の筋の本数を見れば大体の使用頻度は分かる。
依存しているようなら、別の気晴らしを見つけるように言おう。
教団の者達を排除した。
全員が白昼夢を見たがった。
理想の世界だとか。
まあそうだよな。
争いのない平和な世界だ。
夢の中にしかないけど。
「捕まえた人達はみんな上の空ね」
「夢の世界に入っている。良いのか悪いのか」
「依存性がありそうね。かなり問題だわ」
「うーん、タイマーを仕込んだりできないからな。一日に3回までとか制限できたら良いんだけど」
やってみるか。
『three times a day daydream』で良いのか。
『ラー♪ララララ♪ララーラ♪ラ♪ラ♪、ラー♪ララ♪ラーラー♪ラ♪ラララ♪、ララー♪、ラーララ♪ララー♪ラーララーラー♪、ラーララ♪ララー♪ラーララーラー♪ラーララ♪ララーラ♪ラ♪ララー♪ラーラー♪』これでいいな。
白昼夢を見ている間に核石を取り換えた。
効果が切れて白昼夢から覚める。
3度繰り返し、白昼夢が見れなくなった
「壊れました」
「壊れてないよ。一日3回までしか使えないんだ」
「そんな」
「休み時間などに使え」
「えーっ」
みんなが恨みがこもった目で俺を見た。
「人の為に働いたら、俺の所に来い。褒美として回数制限なしで白昼夢を見せてやる」
「頑張る」
人間爆弾に使われてた爆弾は魔道具だった。
時限式でないのが救いだ。
ありふれた品らしい。
モンスターに使うのなら便利のようだ。
起動して3秒後に爆発する。
爆発禁止の魔道具を作るか。
『stop explosion』で良いか。
一応ギルドに魔道具を収めた。
邪神教との現場や、お偉いさんの会議とかで使うらしい。
重宝がられた。
さっそく良いことをしたと言って邪神教徒が工房にきた。
「何をした」
「老人の荷物を持ってあげました」
「本当のようだな。なら余分に1回、夢を見せてやる」
嘘判別の魔道具を使っている。
「やった」
ぼーっとする姿は何となく不気味だ。
何をしたか聞いて白昼夢を見せる仕事はヤルダーに振った。
浮浪児にも使っていいか聞かれたので、許可をだした。
ヤルダーには定期的にちゃんとやっているか報告させる。
嘘を言ってないか魔道具で調べるから問題ないだろう。
世の中、つらい奴が多いんだな。
だが、白昼夢の魔道具で少し和らげられた気がする。
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