第23章 恋愛同盟
第89話 見張り
Side:シナグル・シングルキー
ソル、スイータリア、マギナ、ピュアンナがおかしい。
この4人が連れだって工房を訪れるのだ。
4人同時に何で来る。
示し合わせているのか。
今日も来てたわいのない話をして去って行った。
まあ、別に良いんだが。
それにお客さんが来るとすぐに帰る。
邪魔しないのなら問題ない。
「えっ」
何の気なしに外を見たら、マギナが立ってた。
そして、何時間かすると今度はソルが、そしてスイータリアが。
交代で俺を見張っているのか。
くっ、なんだこの外堀を埋められて行く感。
「入れよ」
立っていたスイータリアに声を掛けた。
「てへっ、ばれちゃった」
「順番なんだろう。後の3人にも報せて、交代で店の中にいて良いよ」
「やった。報せてくる」
何のために見張っていたかは聞かない方が良さそうだな。
店が賑やかになった。
花があるとやっぱり違うな。
「あたいが思うに、折れない剣が最強なんじゃないか」
「そういう魔道具は既に作っているよ」
「じゃあ、防御できない剣は」
「それも作った。次元斬という魔道具をな」
「やるねぇ。それがシナグルの最強か」
「いや、このコインは神の力が込められているらしいけど、この金属で剣を作ったら強いかもな。ひとつやるよ」
「おお、神の力か。そう思ってみると神々しいぜ。あたいの剣の柄に埋め込むことにするよ」
「神剣になったりしてな」
「まさかね」
次は、マギナか。
「ソルにもあげたが、神のコインだ」
「くっ、出遅れた。なんで私が一番目じゃないのよ」
「4人一緒に渡した方が良かったか」
「この順番は特別な物じゃない」
「えっと、何か力を感じる気がする。杖につけようかな」
「ソルは剣に付けるらしい」
「またしても」
次はスイータリアか。
「みんなにあげたが、神のコインだ」
「やった。メアリのペンダントに仕立てよう」
「人形に意思が宿ったりしてな。考えたら怖いな」
「神様の力なら悪い子になったりしないわ。メアリは今も良い子だし。コイン大事にする」
「うん、大事にしてくれ。そう頻繁に神と取引するつもりはないから」
次はピュアンナか。
「神のコインだ。やるよ。日頃の感謝の気持ちだ」
「これって、神器とか呼ばれる物ですよね。国宝も国宝、超国宝なのでは。SSSランク確定のお宝」
「そこまで大袈裟じゃないさ。麦を売った代金だ」
「あれっ」
マニーマインが転移扉から現れた。
「同盟発動です。あなたシナグルとの関係は?」
「幼馴染だけど」
「くっ、圧倒的アドバンテージ」
「マニーマインは何で?」
「治癒の魔道具が壊れたから」
「そうだ。マニーマインにもコイン渡しておくよ。神のコインだ」
「そんな貴重な物を」
「そうよ、この女には勿体ないです」
「死んで欲しくないからな。幸運が必要そうだったし」
「あなた敵ね。私達4人が相手よ」
「あなた達と仲良くなりたいのだけど」
「同盟に加わるの。シナグル、奥を借りるわ」
「じゃあ、俺は魔道具を仕上げておくよ」
奥でどんな話し合いが行われているか分からないけど、あまり険悪になって欲しくない。
Side:マギナ・トゥルース
私は、ソル、スイータリア、ピュアンナを集めた。
「集まって貰ったのはシナグルのこと。私達、張り合う関係だけど、このままだと他の人に漁夫の利を得られてしまう」
「何が言いたい。はっきり言えよ」
「ソルはせっかちね。同盟を結ぼうと思うのよ。恋愛同盟」
「何か楽しそう」
スイータリアはそう言うわよね。
だって、年齢が圧倒的に足りてない。
時間稼ぎする必要があるものね。
そして、時間稼ぎすれば、その年齢が有利に働く。
男はみんな若い子が好きだから。
ううん、シナグルはそんな人じゃない。
ごめんと、心の中で謝った。
「加盟するかはどんな規則を作るかによりますね」
ピュアンナらしい考えね。
「あたいはそういう規則は嫌いだ。だけどよ、ルールがある奴は強い。死亡フラグで学んだぜ」
死亡フラグが何なのか分からないけど、ソルはルールに縛られるのはありって考え方か。
意外ね。
でも何となく分かる。
考えなしではソルみたいな人は早死にする。
「まず、みんなでシナグル工房を交代で見張る。会うのはみんな一緒。誰かが結ばれたら、祝福してあげる。あわよくば全員でお嫁さんになる」
「そういう可能性もあるな。貴族だからよ。多妻の権利を持っているからな。でもあたいは一番を目指すぜ。誰かの後姿を拝むのは性に合わない」
一番を目指したいのは誰も一緒。
でも不毛な争いは避けないとね。
たぶん、そういう争いをシナグルに見せたら、好感度が下がる。
「一番を目指すのは当然として、わたしはシナグルお兄さんのお嫁さんになれるのなら、他に妻がいても良いわ」
スイータリア恐ろしい子。
年齢の有利さを分かっている。
一番長く愛されるかも知れないからね。
「同盟のルールはそんな感じで良いですが、他の女が現れたらどうします」
そうね、それが一番怖いわ。
そういう場合に同盟が活きるのよ。
4人で立ち向かえば、強敵もたじたじになるはず。
「もちろん妨害する。強敵だったら同盟に加えるのでどう」
「ルールに関してはあたいは文句ないぜ」
「私も別に良いと思う」
「落としどころとしては良いと思います」
「みんな、賛成のようね。決まりね」
恋愛同盟成立。
これが吉と出るかは分からない。
でも、きっとシナグルのためにはこれが一番いい。
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