アルケニー・プロファイル7【カクヨム版】

気の利いた獲物

　網にかかれば自分たちより大きくても最高のごちそうだった。

　いつかもっと大きな天敵を餌にしてみたい。

　我々クモにとって一度は自分たちの世界くらい夢を見る。

　それは嘘かもしれない。

　こんなことまで皆が考えることはなく、それぞれが餌とならないように身体の小ささを利用して生きていくために臆病（おくびょう）へ臆病へと巣の奥へ隠れる。

　たとえ生き残っても寿命はやってくる。

　その前に子供たちを育てるのだ。

　シンプルなレールだ。

　誰しもが最期（さいご）は決まっているのかもしれない。

　産まれも。

　人間が自分達の巣の近くで似た会話をした時に腹部から糸を出して巻いてやろうかと思うほど腸（はらわた）が煮えくり返る。

　えらそうなことを。

　お前たちだって何も出来ない。

　もう滅びは近い。

　これが食物連鎖（しょくもつれんさ）なのだ。

　こんな時に都合よく網に餌が引っかかった。

　捕らえよう。

　今日を生きるために。