内見担当内見さん
水城みつは
中庭付きマンションは大人気です
今日のお客様は目つきの鋭い男女の二人組です。Cランク上位、いえ、Bランクかもしれません。
「お待ちしておりました。
―― 内見担当 内見 当――
そう書かれた名刺を渡すとお客様が一瞬固まる。
あ、女性の方は口を押さえて横を向いたが肩が笑っている。
ネタのような名前だが本名だ。ちなみに名前の方は『
この名前で内見担当に抜擢されたのは間違いないが、このマンションのオーナーでもある社長が笑いを堪えつつ名刺を渡してきたのを思い出した。
「おお、本当に中庭にダンジョンがあるじゃないか!」
男性がベランダから身体を乗り出して声をあげている。
この部屋は六階建ての五階であり、実質最上階で眺めも良い。なお最上階はオーナーの自宅となっている。
「ええ、プライベートダンジョンはこのマンションの売りの一つです。三十層規模の中型ダンジョンと言われていますが現在の到達最深層は二十四階となっております」
「ねえねぇ、凄いよ。最新の魔導家電ばっかりだよー!」
魔導家電、要は電気でなく魔力、魔石で動作する家電製品です。電気を使用しないのに家電と呼ばれるのは違和感がありますが、よくある話です。
なお、ここの魔導家電はダンジョンの宝箱に入っているダンジョン産のものだったりします。
「備え付けの魔導家電が充実しているのもこのマンションの売りですからね。それもこれもここのプライベートダンジョンでの魔導家電発見率が高いおかけです」
「マジかよ。このダンジョン、魔導家電でるのか」
「え、魔導家電が算出するダンジョンってかなりレアだし、入場制限かかってるところばかりよね?」
「ここのダンジョンも入居者のみ入場可能ですから、入場制限もかかっていると言えますね。それでは、ダンジョンの内見も行いましょうか――」
ダンジョン付きマンション。本日も速攻入居者決定の希望者が後を絶たない人気物件となっております。
内見担当内見さん 水城みつは @mituha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます