【KAC20243】重ね箱の中のサプライズ

この美のこ

重ね箱の中のサプライズ

「めっちゃ、美味しかったね。こんな素敵なレストランがあるって知らなかった。かける、今日はありがとう。最高の誕生日になったわ」


らんが喜んでくれて良かった。どこのお店がいいか色々悩んだんだけどね。」


「私は翔と一緒ならどこだって!」


「蘭ならそう言ってくれると思ったよ。」


 蘭と翔は、住宅の内見会がきっかけで付き合い始めて約一年になる。

今日は蘭の誕生日なので、翔が予約したレストランに来ていた。

一通りのコース料理を堪能して、最後のデザートとコーヒーも飲み終わったところだった。


 そこへウエートレスが、大事そうにを持ってきて翔と蘭がいるテーブルにそっと置いた。と、突然、レストラン内の音楽がテンポのよい曲に変わった。

かと思うとウエートレスは急に軽やかに躍り始めた。

さらに隣のテーブルのカップルが立ち上がり躍り始めた。

踊りながら、テーブルのを開けていった。

の中には更にが入っている。

店内のお客さんが順番に次々踊りながらを開けていった。

マトリョーシカのような重ねだった。

蘭は驚いて


「なにこれ?ショータイム?」


すると、翔も立ち上がり、踊り始めたではないか。

唖然とする蘭。


曲がクライマックスに達した頃、翔は蘭の手を取り、驚く彼女を中央に引き寄せた。

一緒に踊っていた人々はいつのまにかレストランの隅に寄っていた。


音楽がとまると、翔はの中からケースを取り出し蘭の前で膝まずき


「蘭、今幸せ?僕は幸せだ。蘭の花嫁姿も、蘭がおばあちゃんになった姿も全部見れたらもっと幸せだ。僕と結婚して下さい。」


と言ってケースを開いて見せた。

そこには指輪がキラリと光っていた。

蘭は、驚きと感動で涙を浮かべながら

「はい」と答えた。


「「わぁ~」」

周りから歓声と共に拍手が沸き上がった。


フラッシュモブ・プロポーズが大成功した瞬間だった。

テーブルの上には大小のが並べられ「お」「し」「あ」「わ」「せ」「に」「♡」という文字が浮かび上がっていた。

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