第4話

「なぁ、ベルファ」


「何かしら?」


「どのくらい、この世界に居るか分からないから、この世界について教えてくれないか」

 

 信康はこれから何をするにしても、必要なのは情報であった。


 なので、ベルファに教えて貰う事にした。


「良いわよ。現在この世界には六つの勢力があるわ」


 ベルファがそう言った後、近くにいる仲間に手で合図する。


 合図を見た者は一礼して、その場を離れた。


 少しすると、その者はタブレットを持って戻って来た。


 その者はタブレットを信康に渡した。


「これは?」


「触れて頂戴。そうしたら、分かりやすく説明できるから」


 ベルファにそう言われ、信康はタブレットに触れた。


 触れた瞬間、画面が明るくなった。


 画面に球体が浮かび上がった。


 球体には『ミッドガル』と書かれていた。


 恐らく、信康達が居る星の名前と思われた。


 そして、この星には陸地が八割。海が二割と書かれていた。


(地球は海が七で陸が三って授業で習ったな。という事は、この星は海が殆どないのか)


 そう思っている間も、画面は動いていた。


 次の画面はこの世界の勢力名であった。


 クリムゾンレイド。


 アズールバルコ。


 トパーズアナジシス。


 グリーンフォレスト。


 ブランコメイデン。


 ノワールックス。

 の六つが書かれていた。


 勢力名は分かったが、どういう勢力なのか分からなかった。


 だが、そう思っていると、画面に各勢力について詳しく説明されていた。


 クリムゾンレイド。

 獣人が中心となった組織。

 この世界で一番大きい勢力を持っている。

 

 アズールバルコ。

 機人族だけの組織。

 海を使った活動をしている。


 トパーズアナジシス。

 小人族が多く属する組織。

 探索と採掘を活動基盤にしている。

 

 グリーンフォレスト。

 耳長人が多く属する組織。

 荒廃した世界の復興活動をしている。


 ブランコメイデン。

 翼人だけの組織。

 中立を標榜している。


 ノワールックス。

 様々な種族が集まって出来た組織。

 この世界で二番目に大きい勢力を持っている。


 自分達が属してる組織を含めて、大まかに説明してくれた事で、信康は理解できた。


「この翼人って、どんな種族? 何だ?」


 機人族や小人族は地球でも居たので分かった。


 機人族はサイボーグの様に、身体を機械化している者達の総称であった。


 小人族も成人でも身長が子供ぐらいにしか育たない者達の総称だ。


 だが、地球には翼人という種族は居なかった。


 背中に翼を生やしている人種は、獣人い属する鳥人バードマンと言われる者達しか居なかった。


「そうね。簡単に言えば、天使アンジェと言えば分かるかしら」


「天使? つまり、女性に白鳥の翼を生やしているという事か?」


「そう。この世界で活動する過程で、翼を生やした者達の末裔が彼女達よ」


「彼女達?」


「翼人は女性しか生まれないのよ。どうして、そうなったのかは色々と言われているけど、一番有力な説は、生み出される過程で遺伝子を弄られたからと言われているわ」


「へぇ、そうなのか。ベルファ達と仲が悪いのは何処なんだ?」


 この世界で活動する以上、険悪な関係の組織んは近付かない様にしないといけないので、それが何処なのか知るた為に訊ねた。


 その信康の問いに、ベルファは首を振った。


「ブランコメイデン以外とは仲が良いとは言えないわね。偶に何処かの組織と衝突する事もあるから」


「衝突って、つまり戦闘になるという事かよ?」


「まぁ、散発的な戦いになる事が多いけど、偶に派手な先頭になる事があるわ。長期戦になった場合は、ブランコメイデンに仲介して貰って停戦をするわ」


「成程。ブランコメイデンって意外に使い道があるんだな」


 思っていたよりも使える組織なんだなと思う信康。


「後は聞きたい事はある?」


 ベルファの問いに、信康は首を横に振る。


「じゃあ、今日はもう休んで良いわ。案内して頂戴」


 ベルファが傍にいる者にそう命じた。


 命じられた者は一礼した後、信康にてで付いて来る様に合図を送った。


 信康はその者に従い部屋を後にした。

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終末世界からの帰還者 雪国竜 @tatudosi

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