第3話

 金髪の少女達と共に暫く歩く事数十分。


 目的地に着いた。


 其処は何処も破壊されておらず、外装が綺麗であった。


 広い敷地は塀で囲まれており、角には見張り台が置かれていた。


 見張り台には金髪の少女達と同じ少女達がおり、周囲を警戒していた。

 

 そんな厳重な警備が敷かれている場所に、信康が居た。


「ようこそ。わたし達の本拠地『ノワールックス』へ」


「どうも。いい加減、お前の名前を聞いて良いか?}


 案内された部屋にある椅子に、座りながら訊ねる信康。


 対面には此処まで案内してくれた金髪の少女が居た。


 ちなみに、護衛なのか、信康達を囲むように、金髪の少女と行動を共にしていた少女達も控えていた。


「そう言えば、名乗っていなかったわね。わたしはノワールックスのリーダーをしているベルファよ」


 金髪の少女ことベルファが名前を教えてくれた。


「貴方の名前は聞いているわ。ノヴヤスで良いかしら?」


「微妙に発音が違うが。まぁ良いか」


 イントネーションが違うが、此処が自分が暮らしていた世界では無いので、発音が違っても、不思議では無いと思う事にした信康。


「貴方はどうやって、あそこに来れたのか聞かせて貰えるかしら?」


 ベルファは嘘は許さないとばかりに、目を細める。


「分かったよ。ただ、信じるか信じないかは、お前等次第だからな」


 信康は一言断りを入れてから、此処に来た経緯を話した。


 ベルファは真剣に聞いていたが、周りの者達は懐疑的な目を向けていた。


「・・・それで、歩いていたら、お前等と出会ったんだよ。以上。俺が此処に来た経緯だ」


 信康は話し終えると、周りにいた者達はベルファを見た。

 

 ベルファは暫し黙った後、口を開いた。


「要するに、貴方は異世界から来た人とう事で良いの?」


「ああ、そうだ」


「そして、貴方の世界には、この世界で暮らしていた者達が移住しているという事で良いのね」


 ベルファの言葉に首肯した。


異邦人ストレンジャァという事ね。初めて見たけど」


 やはり、イントネーションが少し違うなと思いつつ、信康は訊ねた。


「なぁ、この世界って、つまり」


「ええ、この世界は嘗てエデンと呼ばれていた世界よ。尤も、今はディストピアと呼ぶのが正解でしょうけどね」


 ベルファは自嘲する様に教えてくれたが、それを聞いた信康は不思議に思った。


「なぁ、聞いても良いか?」


「何かしら?」


「俺の世界に来た奴らは、自分達が住んでいた世界は戦争で荒廃して住む事が出来なくなったから、次元転移して、俺の世界に来たと聞いているけど、お前等は生活はしているよな?」


 生活している以上、次元転移しなくても生活が出来たのではと思い訊ねると、ベルファは教えてくれた。


「簡単に言うと、生き残りを掛けて、別れたのよ」


「別れた?」


「ええ、荒廃して満足に生活する事が出来なくなったわたし達の先祖は二つの考えがあったの。一つは次元転移して、別の多次元世界に移住する。もう一つはこの世界で暮らして、環境を清浄するの二つね。そして、先祖は次元転移にした者達とこの世界に留まる者達に別れたのよ」


「成程。じゃあ、お前等はこの世界に留まった者達の末裔という事か?」


「そういう事。貴方の素性は分かったし、これから何をすするのか知らないけど、改めて、ようこそ。かつて楽園エデンと言われ、今は地獄インフェルノと化した世界へ。歓迎するわ」


 ベルファは微笑みながらそう告げた。

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